第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム2
当事者参加型の倫理委員会の実現に向けて:当事者・家族・医療者からの工夫と提案

2024年6月20日(木) 08:30 〜 10:30 H会場 (札幌コンベンションセンター 2F 小ホール)

司会:夏苅 郁子(やきつべの径診療所),村井 俊哉(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学))
メインコーディネーター:夏苅 郁子(やきつべの径診療所)
サブコーディネーター:村井 俊哉(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学)

委員会:研究倫理委員会

近年、医学研究では研究・臨床試験プロセスの一環として、研究者が患者・市民の知見を参考にする患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)が強く推奨されている。病態解明や個別化医療、それらを活かす社会実装の実現が道半ばである精神医学では今後、多施設による大規模研究が求められ、患者・家族の研究協力は必須である。研究のための研究ではなく研究成果が真に患者・家族の生活に還元するためには、倫理指針の尊寿は大前提である。
2021 年に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が統合され、新指針が施行された。本学会倫理委員会では新指針施行に関連して、第117 回総会から関連するテーマで委員会企画シンポジウムでの発表を行い、第118 回、第119 回からは「当事者参加型の倫理審査委員会」に特化したテーマで発表を続けている。また当事者、家族の世界でも変化が起きている。当事者会の中に、研究への当事者参加の妥当性や留意事項などのチェック機能を備える倫理審査委員会を設置したケース、自前で倫理審査委員の養成を目指すプロジェクトを発足した家族会など、研究者任せではなく「自分たちが取り組もう」という機運が高まってきている。
「当事者参加型の倫理審査委員会」をテーマとした3 回目となる今回のシンポジウムでは、これまでの集大成としてその実現に向けて取り組んでいる当事者、家族の活動を皆様へ知っていただくこと、それに対して医療者・研究者側がどのように呼応していくべきなのか、実際に精神科領域で倫理審査会を開いている機関の担当者、および倫理の専門家も交えて具体的な実のある討論を目指している。当事者参加型の倫理審査委員会の実現は、PPI を体現するものである。本シンポジウムを通して、その実現に向けて皆様の理解が深まり協力の輪が広がることを願っている。