第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム23
ICD-11における鑑別診断:診断要件と臨床的判断

2024年6月22日(土) 10:45 〜 12:45 H会場 (札幌コンベンションセンター 2F 小ホール)

司会:針間 博彦(東京都立松沢病院),神庭 重信(社会医療法人栗山会飯田病院精神科/日本うつ病センター)
メインコーディネーター:針間 博彦(東京都立松沢病院)
サブコーディネーター:神庭 重信(社会医療法人栗山会飯田病院精神科/日本うつ病センター),丸田 敏雅(聖徳大学)

委員会:ICD-11 委員会

ICD-11 第6 章「精神、行動又は神経発達の疾患群」には、「臨床記述と診断要件」(CDDR)が準備されている。これはICD-10 の「臨床記述と診断ガイドライン」(CDDG)の後継にあたるが、名称中の「ガイドライン」が「要件」に変更されているように、その中の診断要件はDSM-5-TR の診断基準に類似している。だがそれとは異なり、診断に要する症状数が一般に明示されていないなど、臨床的判断を柔軟に用いることが想定されている。CDDR によればこの臨床的判断は診断医の臨床経験と専門知識に基づくものであり、診断においては個々の患者の背景、状況、特徴などを考慮した臨床的判断が広範に行使される。こうした臨床的判断は他の疾患との鑑別診断において特に重要な役割を果たすが、類似の症状を示すが治療方針が大きく異なる疾患も少なくなく、それらの鑑別診断は臨床上きわめて重要である。本シンポジウムでは、臨床実地上しばしば困難であるにもかかわらず治療方針に大きな影響を与える鑑別診断として、 神経発達症とパーソナリティ症、気分症と精神症、うつ病と適応反応症、解離症と統合失調症に焦点を当て、臨床的判断を用いたCDDR による診断について論じたい。