第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム8
精神疾患をもつ女性と子育て:困難に寄り添う支援を考える

2024年6月20日(木) 13:25 〜 15:25 D会場 (札幌コンベンションセンター 1F 中ホールB)

司会:赤崎 安昭(鹿児島大学医学部保健学科),榎戸 芙佐子(医療法人社団和敬会谷野呉山病院)
メインコーディネーター:赤崎 安昭(鹿児島大学医学部保健学科)
サブコーディネーター:榎戸 芙佐子(医療法人社団和敬会谷野呉山病院)

委員会:男女共同参画委員会
オンデマンド配信対象外

精神疾患を抱える人たちの社会活動が多様化するなか,精神科治療を受けながら妊娠・出産,そして育児に関わる女性が増えている。一般的にも女性にとって妊娠・出産は,生活スタイルを大きく変えることになる重大なライフイベントであり,喜びとともに,一方で,身体的にも精神的にも大きな負担を強いられることになる。言い換えると,子育てが始まると,自身の精神疾患に対する気遣いだけではなく,「子育て」に対しても,母親としての気遣い(不安や期待など)が生じるため,心身共に危機的な状況をもたらす可能性がある。厚生労働省は,産後は産後うつをはじめとしてメンタルヘルスの不調をきたしやすい時期であり,母親のメンタルヘルス不調は養育不全や児童虐待のリスク因子となることを指摘している。また,子育てを行う親のメンタルヘルスと子どもの虐待は密接に関連しており,多面的な情報収集,柔軟で個別的な対応,多職種が協働しての支援が必須であることも報告されている。したがって,各種精神疾患患者が子育てにどのような困難さを抱いているのかを具体的に抽出し検討することは大切なことであると考える。我々,精神科医は,精神疾患を抱える人たちが,産後に育児を担うことになった場合には,既存の精神疾患の治療のみならず,養育不全や児童虐待につながりうる心理社会的リスクを見逃さずに母子の支援につなげることが責務であると考える。今回,男女共同参画委員会としては,「精神疾患をもつ女性と子育て」についてシンポジウムを開催することで,精神疾患を有する女性が子育てをする際のメンタルヘルス問題,ネグレクトをはじめとする虐待問題,また,子育てに伴う不安や抑うつなど,様々な個別の問題点を各シンポジストに提示していただき,それぞれにおける子育ての困難さを抽出し,精神疾患を抱える女性の困難さに寄り添える更なる支援を行うための方策について議論を深めたいと考えている。