第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム9
精神科外来における「自立支援」を考える

2024年6月20日(木) 13:25 〜 15:25 J会場 (札幌コンベンションセンター 2F 201+202会議室)

司会:寺田 浩(あおいクリニック),林 輝男(社会医療法人清和会西川病院)
メインコーディネーター:藤井 千代(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
サブコーディネーター:寺田 浩(あおいクリニック)

委員会:地域ケアにおける自立支援のあり方検討委員会

地域ケアにおける自立支援のあり方検討委員会においては、精神疾患やメンタルヘルス不調をもつ人々が地域で「自立」して生活するためには、精神科医療・保健福祉はどうあるべきかについて議論を重ねてきた。ここでいう「自立」とは、自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと、そして障害その他の困りごとや生きづらさを抱えていたとしても、その人の希望や特性に基づき社会活動に参加することを意味している。言い換えれば、本人のパーソナル・リカバリーのために、精神科医療・保健福祉は何ができるのかについて検討することが本委員会の主たる目的である。地域ケアにおける自立を支援するうえで欠かせない視点が、外来医療のあり方である。近年、精神科を受診する外来患者は増加の一途をたどり、令和2 年の患者調査では、精神疾患を有する全国の外来患者数は600 万人を超えると推計されている。外来患者の診療においては、単に精神症状をコントロールするのみではなく、真に本人の「自立」を支援することが望まれる。しかしながら、精神科外来では限られた時間と人的資源で多くの患者に対応することを余儀なくされており、そのような状況においていかにして本人の意思決定と社会参加を支援していくべきか、精神科外来における心構えや工夫が問われている。本シンポジウムでは、まず今日の精神科外来診療をめぐる諸課題を概観し、精神科診療所、精神科病院それぞれにおける包括的な外来診療のあり方について見ていく。そのうえで、ひきこもり支援とトラウマケアの実践、医療が提供する就労支援(デイケアにおける就労支援)といった、地域において精神科医療への高い期待が寄せられている実践について検討する。さらに、精神科外来患者の多くを占める気分障害の診療における共同意思決定の重要性を共有したうえで、総合討論を通じて精神科外来の今後のあり方について考える場としたい。