The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

Session information

オンデマンド配信限定セッション

オンデマンド配信限定セッション1
トラウマ診療はこわくない

司会:大江 美佐里(久留米大学医学部神経精神医学講座),千葉 比呂美(久留米大学)
メインコーディネーター:大江 美佐里(久留米大学医学部神経精神医学講座)
サブコーディネーター:千葉 比呂美(久留米大学)

PTSD をはじめとするトラウマ診療については、一般の精神科診療にはまだ十分に浸透していないように思われる。その一方で、ICD-11 で複雑性心的外傷後ストレス症(Complex PTSD)の診断が加わったことや、戦争、性犯罪などのトラウマ体験について社会の関心の高まり、トラウマインフォームドケア概念の普及を背景として、この領域について学びたいと考えている精神科医療関係者は増えていると感じている。実際、第118 回学術大会(福岡)で開催されたワークショップ「外傷性ストレスの精神療法ファーストステップ」では、トラウマから回復する道筋を知りたいと多くの聴衆を集めた。今回はトラウマ診療をさらに浸透させることを目指して「トラウマ診療はこわくない」と題したワークショップを企画した。対象はトラウマ診療を専門としていない一般・若手の精神科医である。黒木は心理療法・精神医学の歴史的な視点も含めて日常臨床におけるトラウマ診療とはどのようなものなのかについて述べる。松岡は近年注目を集めているヤングケアラーを意識したトラウマ診療について論じる。石田はトラウマ診療における併存症をどのように見立て治療するかについて示す。大岡は精神保健福祉士がトラウマ診療にどのようにかかわり、「こわくない」診療にできるのかについて発表する。栁田は臨床心理士・公認心理師でかつトラウマインフォームドケアの実践に携わった立場からトラウマ診療について検討する。司会の2 名は指定討論的な立ち位置でかかわり、特に千葉は心理教育の重要性について考察する。フロアからトラウマ診療への忌避感について具体的に提示頂き、どうすれば「トラウマ診療はこわくない」と言い切ることができる土壌を作ることができるのか、共に考えるようなワークショップとしたい。