The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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オンデマンド配信限定セッション

オンデマンド配信限定セッション12
オンラインメンタルヘルスケアシステムの現在と未来:メンタル・ウェルビーイングを高める仕組み

司会:中込 和幸(国立精神・神経医療研究センター),渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室)
メインコーディネーター:竹田 和良(国立精神・神経医療研究センター病院情報管理・解析部)
サブコーディネーター:中込 和幸(国立精神・神経医療研究センター)

世界保健機関(WHO)における定義では、メンタルヘルスとは、人と良好な関係性を築き、能動的に行動できる精神状態、つまりメンタル・ウェルビーイングにある状態を指す。ハーバードの成人発達研究においても、「良好な人間関係」が、ウェルビーイングにとって、最も重要な要素であることを報告している。一方、新型コロナ感染症によって、長い行動制限等の社会変動を経験したことで、これまでの人間関係が否応なく変化を求められ、後遺症やメンタル不調に苦しむ人が少なくないのが現状がある。このような背景の中、ポストコロナ社会におけるメンタルヘルスケアのあり方が重要な課題となっている。
2020 年11 月より日本医療研究開発機構(AMED)にて、国立精神・神経医療研究センターを中心にメンタル不調の予防、メンタル不調者の早期手当、必要な人への医療への橋渡しを行う、成人を主たる対象とした遠隔メンタルヘルスケアシステム(KOKOROBO)の開発と検証を行ってきた。本シンポジウムでは、その総括として、(1)KOKOROBO から見えてきたシステムの課題と展望、(2)AI チャットボットの効果的な利用法について、紹介する。
さらに、2022 年10 月より、科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラムCOI-NEXT)において、NCNP を代表機関として、大学等に加え、企業、自治体、教育委員会との連携による共創拠点を構築し、児童・思春期に着目し、日常的に個人のセルフケアを高める新たな仕組みとして、オンラインメンタルヘルスプラットフォーム(KOKOROBO-J)の開発に取り組んできた。
本シンポジウムでは、(3)市民・患者参画によるユーザーサポートシステムの構築、(4)自治体・教育委員会との連携による共創拠点の構築と展開、(5)KOKOROBO-J 開発状況と社会実装にむけた課題と展望について、紹介する。
これらをもとに、オンラインメンタルヘルスケアシステムの意義と社会実装への課題について、議論する。