The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

Session information

オンデマンド配信限定セッション

オンデマンド配信限定セッション2
慢性疼痛

司会:臼井 千恵(順天堂大学大学院精神行動科学講座),井上 雄一(東京医科大学睡眠学講座)
メインコーディネーター:臼井 千恵(順天堂大学大学院精神行動科学講座)
サブコーディネーター:井上 雄一(東京医科大学睡眠学講座)

2020 年に国際疼痛学会は、「痛みとは、組織損傷が実際に起こった時あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」であると再定義した。また近年、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛についで、痛みの第3 の分類として、痛覚変調性疼痛:nociplastic pain( 以下解説を示す)「侵害受容の変化によって生じる痛みであり、末梢の侵害受容器の活性化をひきおこす組織損傷またはそのおそれの明白な証拠、あるいは、痛みをひきおこす体性感覚系の疾患や傷害の証拠がないにもかかわらず生じる」が新たに提唱された。ICD11 においても国際疼痛学会は慢性痛を定義し、慢性痛を7 つに分類し、これまで原因不明のいたみとされていたものを一次性慢性痛に分類した。このように国際的に痛みの概念が大きく拡がってきている状況にある。不快な感覚と情動体験である“ 痛み“ が慢性化するメカニズムに脳の機能変化が大きく関与していることは明らかになってきている。脳機能や情動が密接に関係する” 慢性疼痛“ に対して、精神科医が積極的に介入することによって、” 慢性疼痛” の科学の発展に寄与できると考えられ、また、多くの慢性疼痛患者の病状改善に貢献できると考えられる。本シンポジウムでは、慢性疼痛の病態・診断・治療についての最新の知見を提供しつつ、この慢性疼痛領域への精神科医の関与の重要性について議論を深めたい。本シンポジウムは日本線維筋痛症・慢性痛学会推薦のプログラムである。

加藤 隆弘1,2, 藤本 晃嗣3, 稲嶺 翔吾1, 久良木 聡太1, 扇谷 昌宏1,4, 葛巻 直子5, 成田 年5, 細井 昌子2,3 (1.九州大学大学院医学研究院 精神病態医学, 2.九州大学病院集学的痛みセンター, 3.九州大学病院心療内科, 4.旭川医科大学医学部解剖学, 5.星薬科大学薬学部研究室)