The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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オンデマンド配信限定セッション

オンデマンド配信限定セッション5
質の高い精神科医療は地域社会を変える地域を支える精神科医療:地域との連携

司会:土田 正一郎(俱知安厚生厚生病院),樽谷 精一郎(新阿武山病院)
メインコーディネーター:浅見 隆康(群馬大学健康支援総合センター)
サブコーディネーター:植田 俊幸(鳥取県立厚生病院・精神保健福祉センター)

精神疾患が経過していく中で、当事者や家族はできないことを増やすことになる。私たちが回復に取り組んでいく目標は、当事者や家族の「できるを増やす」ことになる。そのことで主体的人生を歩むことになる。つまり「できるを増やす」医療の提供が必要となる。そのような視点から現行の精神医療を見直し、このような医療はどうしたら提供できるか、について検討することがこのシンポジウムの狙いである。まず初めに、地域において精神科医療を変える取り組みの経験から見えてきた、現行の精神科医療の課題および課題解決のための提案について、二人のシンポジストが意見を述べる。一人は精神障害者家族のための勉強会「土曜学校」の経験を土台に作成した「家族支援学を始めよう」(やどかり出版)を、現行の精神科医療の場で活用する取り組みについて、もう一人はメンタルクリニックから地域へと幅広い展開をし、地域社会を変える試みを通じ、地域社会が求める精神科医療について、私見を述べる。後半ではより質の高い精神科医療の提供を目指す、三人のシンポジストの取り組みを紹介する。一人目は最近開発されたSST-VR(FACEDUO)を用いた就労準備訓練プログラムを導入し、デイケアで活用している様子を伝える。二人目はマッピングという手法を用いた依存症回復支援の取り組みを紹介する。三人目は「これからのことを一緒に考えよう!ガイドブック」を開発し、意思決定支援を行った取り組みである。本人や家族にとどまらず、地域社会が精神科医療に関心を抱き、求めるようになれば、精神科医療は地域社会においてなくてはならないものとなる。地域社会が求めている精神科医療の提供は、地域を支えていくことなる。