第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

一般シンポジウム

一般シンポジウム1
精神科医療においてロボットがこれから治療場面で果たしていく役割

2024年6月20日(木) 08:30 〜 10:30 A会場 (札幌コンベンションセンター 1F 特別会議場)

司会:村松 太郎(慶應義塾大学医学部精神神経科学教室),松本 吉央(東京理科大学/先進工学部機能デザイン工学科)
メインコーディネーター:熊﨑 博一(長崎大学医学部精神神経科学教室)
サブコーディネーター:河原 達也(京都大学情報学研究科),加藤 隆弘(九州大学大学院医学研究院精神病態医学/九州大学病院集学的痛みセンター)

オンデマンド配信対象外

ロボット技術は目覚ましい進歩を遂げている。音声認識技術は一定品質の音声であれば認識率90% を超えるまでに進歩しており、人間と同等のレベルにまで達している。対話生成技術も、昨今のchat GPT-4 をはじめとした大規模言語モデルの登場により大きな発展を遂げている。精神科領域においても認知症、自閉スペクトラム症(ASD)領域をはじめとした様々な領域においてロボットの社会実装研究は行われている。本シンポジウムは以下の5 演題から構成される。「精神科領域におけるロボット開発の現状」では、精神科医が、世界各国での精神科領域にけるロボット研究の現状及び自身が蓄積してきた研究について概説し、ロボットが今後治療場面で果たす役割について展望する。「精神科患者に有用な傾聴ロボットの開発」では、ロボット工学者が、世界各国で行われている対話継続システム開発の現状について概説する。また自身が開発してきた傾聴システム、及び精神科デイケアでの実践経験を踏まえ、今後ロボットを治療場面で用いるために必要な開発について考察する。「うつ病、ひきこもり診療にロボットが果たす役割」では、うつ病、ひきこもりを専門とする精神科医が、現在までロボットを用いて行ってきた患者支援の実践について報告する。また患者支援においてロボットだからこそ可能な治療的役割について考察する。「ハグすることで安心感を与えるロボットの開発」では、ロボット工学者が、自身の開発したハグするロボットがASD 児に安心感を与え、前向きな自己開示を促した研究成果について解説する。「ロボットだからこそ発達障害児にできる役割」では、現在まで15 年以上本分野を先導してきた児童精神科医が、発達障害児支援においてロボットだからこそ可能な役割について明確化する。総合討論では、指定発言者にも御参加いただき精神科医療においてロボットが今後治療場面で果たす役割について多角的に議論する。