The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム10
Long COVIDに潜む身体症状症:内科医および精神科医の視点から

Thu. Jun 20, 2024 10:45 AM - 12:45 PM D会場 (札幌コンベンションセンター 1F 中ホールB)

司会:富永 敏行(京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学),名越 泰秀(京都第一赤十字病院精神科)
メインコーディネーター:富永 敏行(京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学)
サブコーディネーター:名越 泰秀(京都第一赤十字病院精神科)

シンポジウムの狙いは,long COVID と身体症状症(Somatic Symptom Disorder: SSD)の関連性を議論することである。SARSCoV-2 感染後,通常は罹患後数週間で回復するが,一部の患者では,関節痛,筋肉痛,疲労,集中力低下,ブレインフォグなどの臨床兆候が数か月以上に渡り遷延する。Long COVID の病態には免疫異常も想定されているが,いまだ不明確である。Long COVID にみられる精神症状は,うつ病などとの関連も指摘されており,本学会の第118 回,第119 回本総会でも活発に議論されてきたところである。
一方,身体症状に目を向けると,精査しても身体的原因が解明されず,説明が困難な場合は精神科に紹介されている。Long COVID のリスク因子にはストレスや孤独,不安などの精神症状,さらにDSM-5 のSSD の診断基準B 項目(認知,感情,行動の問題)の心理社会的な因子が指摘されている。海外ではlong COVID 患者でのSSD の報告もされ始めているが,わが国ではまだ十分に議論がされていない。そこで,今回,両者の関連性について,最新の知見を紹介しつつ,各専門家からその診断と治療,特にSSD の診たて方や有効な介入法を議論する。演者には,総合内科で多数のCOVID-19 患者を診療し,膠原病を専門とする尾本篤志医師を招き,内科医からみたlong COVID による身体症状とSSD を論じる。精神科医として,SSD の薬物療法に造詣が深い名越泰秀,SSD に認知行動療法を実践している富永敏行,自然人間学を森田療法に取り入れ,不安症の治療やメンタルヘルスについて多数の論文を執筆している田所重紀が登壇する。4 名とも総合病院で勤務し,臨床現場でSSD が疑われるlong COVID 患者を診療しており,その経験も踏まえてプレゼンテーションし,フロアと共に皆で議論を深める。
本シンポジウムは精神科医にとって,long COVID の理解を深め,臨床現場で慌てることなく適切に対処できる方略を持ち帰って頂ける機会となるだろう。