第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

一般シンポジウム

一般シンポジウム13
メンタルヘルス支援とダイバーシティ:LGBTQ+、留学生、在日コリアンへの支援に焦点をあてて

2024年6月20日(木) 10:45 〜 12:45 K会場 (札幌コンベンションセンター 2F 206会議室)

司会:徐 淑子(新潟県立看護大学)
メインコーディネーター:金 泰泳(東洋大学)
サブコーディネーター:松髙 由佳(県立広島大学),石橋 道子(広島大学)

ダイバーシティ(Diversity)とは、「多様性の尊重」であり、もともとは、社会的マイノリティの就業機会拡大を意図して使われてきたが、現在は性別・セクシュアリティや人種・民族の違いなど、さまざまな立場や価値観の多様性を認め、広く人材を活用し生産性を高めようとすることをいう。日本では、このダイバーシティという概念は2000 年ごろから徐々に認識され始めたが、その後20 年以上経過した現在でも社会的マイノリティの人々のメンタルヘルスは差別や偏見によって悪化しやすい傾向がみられ、未だ課題の多い状況にある。特に今日では、精神医学の現場にも多様な背景をもつ多くの対象者が訪れることから、我々メンタルヘルスの専門家にとってもダイバーシティの視点は必須である。
そしてこのダイバーシティを考える上で重要なことが、「無意識の偏見(Unconscious Bias)」である。バイアス=偏見は、客観的な根拠なしに人や集団を判断することであり、「無意識の偏見」とは自身が気づかずに持つ偏った見方・考え方である。無意識の偏見はメンタルヘルスの専門家の内にも存在し、知らず知らずのうちに対象者を傷つけたり、適切な関わりを妨げることが指摘されているため、我々はこの問題に取り組んでいく必要がある。
そこで、本シンポジウムでは、LGBTQ +、留学生、在日コリアンのメンタルヘルス支援に関わる支援者から、各対象者のメンタルヘルスの状況とその背景要因や、メンタルヘルスの専門家に求められるバイアスの問題への取り組みについて話題提供を行う。これらを通して、我々支援者がダイバーシティの姿勢を向上させ、真に役立つメンタルヘルス支援を行えるようになるためにできることについて、フロアと共に議論を深める。なお本シンポジウムはJSPS 科研費 JP21K01886 の助成を受けたものである。