The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム14
東洋と西洋の知から精神療法を深める:あるがままとマインドフルネスの一般臨床への活用

Thu. Jun 20, 2024 10:45 AM - 12:45 PM M会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームA)

司会:舘野 歩(東京慈恵会医科大学精神医学講座),小野 和哉(聖マリアンナ医科大学神経精神医学教室)
メインコーディネーター:舘野 歩(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:小野 和哉(聖マリアンナ医科大学神経精神医学教室)

マインドフルネスを取り入れた第三世代の認知行動療法の代表例としては弁証法的行動療法(以下DBT)(1993)やマインドフルネス認知療法(以下MBCT)(2001)がある。DBT とは境界性パーソナリティ障害に特化した治療法である。現実的な対人関係で起こる様々な問題行動を患者のソーシャルスキル能力の不足と捉えてそのトレーニングを徹底し、ありのままの自分を受容することを患者へ教える。MBCT とは、ただ思考が湧いたことを一歩離れて観察するというマインドフルネスの技法を取り入れ、否定的な考え、行動を繰り返さないようにすることで、うつ病の再発を防ぐことを目指す。また2010 年にはマインドフル・セルフ・コンパッション(以下MSC)が登場し、これはマインドフルネスストレス低減法をベースに「自分への思いやり」を明示的に扱う心理プログラムである。各治療とも「あるがまま」の自己を受け入れることを目指しているように見える。一方日本で生まれた森田療法は1919 年に誕生した神経症性障害に対する精神療法で、不安に対する態度を転換し建設的な行動を促し「あるがまま」を治療目標としている。つまり西欧で生まれた精神療法が森田療法に近づいているように見える。今回は各治療をどのような病態に使用するのか、限られた精神科一般臨床でいかに活かすかについて討論していきたい。DBT についてはいち早く日本へ導入されている聖マリアンナ医科大学神経精神医学教室小野和哉先生に、MBCT を緩和ケア領域に発展させていらっしゃる慶応大学医療安全管理部/精神神経科藤澤大介先生に、MSC についてはいち早く日本へ導入をされている京都大学大学院医学研究科健康増進・行動学分野の岸本早苗先生に、森田療法についてはその発祥の地である東京慈恵会医科大学精神医学講座舘野歩が担当する。今回のシンポジウムを通して日常臨床で各精神療法の病態に応じた活かし方を浮き彫りにできれば良いと考えている。