第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

一般シンポジウム

一般シンポジウム15
治療や支援につながりにくい人へのアウトリーチ

2024年6月20日(木) 10:45 〜 12:45 N会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームB)

司会:植田 俊幸(鳥取県立厚生病院),岡﨑 公彦(岡﨑クリニック)
メインコーディネーター:植田 俊幸(鳥取県立厚生病院)
サブコーディネーター:岡﨑 公彦(岡﨑クリニック)

精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムなどで、アウトリーチ支援の種類や数は増えている。しかし、発達障害や長期のひきこもりなど、さまざまな理由で治療反応性が十分には期待できない人などへのサービスは不十分である。
また、病院内でやむなく隔離対応が長期化している人や、暴力などの攻撃的な行動障害が強いなどの理由で困難事例とされている人も、外来での精神科治療あるいは精神保健福祉サービスには繋がりにくい。
本シンポジウムでは、これらの問題の解決にアウトリーチ支援が必要であることを、具体的な取り組みを紹介し考察する。登壇者は精神科病院、クリニック、行政の各領域であり、以下の発表を予定している。
1)急性期医療を中心に取り組んでいる都市型精神科病院において、入院や外来での困難事例に対し、アウトリーチ支援が有効であった事例を紹介し考察する。
2)精神科クリニックで、引きこもり事例に対し、長期の積極的なアウトリーチにより通常の支援につながった事例を紹介し、関わり方の工夫や診療報酬システムの課題について考察する。
3)医療と行政が連携し地域を巻き込んだ活動として、精神保健福祉センターで行っている積極的なアウトリーチを紹介し、事例を通して地域医療における医師の役割を考察する。
4)包括型地域生活支援プログラム(ACT)のチーム医師を経て新規に開業した経験から、いわゆる重度精神障害等の、従来のサービスでは地域生活が困難とされた方へのアウトリーチ支援を、事例を通して紹介する。
アウトリーチの手法を知り実践することで、病院では困難に見える事例の回復や地域生活の維持に貢献できるのは、精神科医療の醍醐味であり、支援者の励みや希望になる。その際に、多職種チームの中で医師の役割は重要である。今までと現在の実践を振り返り、これからの日本におけるアウトリーチ支援のありかたを提案したい。

藤井 和世1,2,3,4, 浦林 翼1,2,3, 伊藤 順一郎5, 西(シラカワ) 美也子4 (1.おでかけクリニック, 2.任意団体いちかわみんなのほけんしつ, 3.合同会社ももここら, 4.こころとからだ・光の花クリニック, 5.医療法人社団ここらるらメンタルヘルス診療所しっぽふぁーれ)