岩本 邦弘 (名古屋大学大学院医学系研究科発達老年精神医学分野)
セッション情報
一般シンポジウム
一般シンポジウム16
向精神薬と自動車運転:エビデンスの実装と添付文書での適切な注意喚起
2024年6月20日(木) 10:45 〜 12:45 P会場 (札幌市産業振興センター 技能訓練棟 3F セミナールーム1)
司会:松尾 幸治(埼玉医科大学医学部精神医学/埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科),中林 哲夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構健康被害救済部)
メインコーディネーター:松尾 幸治(埼玉医科大学医学部精神医学/埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科)
サブコーディネーター:中林 哲夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構健康被害救済部),岩本 邦弘(名古屋大学大学院医学系研究科発達老年精神医学分野)
本邦における向精神薬の添付文書は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないことを規定しているものが多い。欧米では添付文書による一律の運転禁止とはせず、向精神薬が自動車運転技能に及ぼす影響を検討し、医療者と患者とで適切にリスクコミュニケーションを行うことこそが、交通事故防止に重要であると考えられている。一方、本邦では眠気等の副作用が少ない標準的治療薬においても、一律に運転禁止を求めざるを得ない状況が続いており、欧米同様に向精神薬の影響の程度に応じた注意喚起を行い、患者の社会生活と安全の双方を考慮した規制が望まれる。こうした状況を踏まえ、「向精神薬が自動車の運転技能に及ぼす影響の評価方法に関するガイドライン」が日本精神神経学会とも連携して作成され、厚生労働省より2022 年12 月27 日に通知として発出された。同時並行で開発された自動車運転シミュレータを用いた評価体制も整備され、本邦においても新薬と既承認薬の影響を評価する基盤は整った。さらに、向精神薬の影響の程度を判定する基準についても定まった状況となっている。ただし、向精神薬の自動車の運転技能への影響には個人差があり、薬効評価と個々の当事者での運転適性の評価は同義ではない。薬効評価においては健常者を対象とした検討が基本となるが、運転適性評価においては、実臨床における患者群を対象としたエビデンスも欠かせない。このため、本シンポジウムでは、向精神薬の薬効評価に関する現状と運転適性判断における課題について議論する。
中林 哲夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構健康被害救済部)
吉村 玲児 (産業医科大学医学部精神医学教室)
小西 勇輝 (産業医科大学医学部医学科精神医学)
渡邊 さつき (埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科)
中田 克彦