The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム18
社会認知機能(他者の意図や感情を理解する力)をどう評価し、臨床に活かすか

Thu. Jun 20, 2024 1:25 PM - 3:25 PM G会場 (札幌コンベンションセンター 1F 108会議室)

司会:橋本 直樹(北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室),根本 隆洋(東邦大学医学部精神神経医学講座/東邦大学医学部社会実装精神医学講座)
メインコーディネーター:根本 隆洋(東邦大学医学部精神神経医学講座/東邦大学医学部社会実装精神医学講座)
サブコーディネーター:橋本 直樹(北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室),大久保 亮( 独立行政法人国立病院機構帯広病院精神科/北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室)

「他者の意図や感情を理解する人間としての能力を含む、対人関係の基礎となる認知機能」と定義される社会認知機能は、精神疾患患者の社会参加を阻害する要因として注目されている。しかしながら本邦において使用可能な検査が存在しなかったため、日本医療研究開発機構(AMED)の支援をいただき、「障害者対策総合研究開発事業 社会認知機能に関する新たな検査バッテリーの開発」として、検査の信頼性・妥当性評価を行い、使用が推奨される検査を6 つに絞り、web ブラウザ上で実施できるシステムを構築した。
本シンポジウムでは、まず「社会認知の測定;web 版社会認知機能検査の紹介」として、web ブラウザ(Chrome 推奨)上で実施可能な6 つの社会認知機能検査を紹介する。web 上で自動的に課題が進行し、採点も行われるよう、簡便に使用可能な形で構築した。検査の特性を踏まえて、臨床から研究までそれぞれの用途に合わせてどの検査を使うべきか提案し、使用を希望する方には積極的にご利用いただきたいと考えている。続いて、「社会認知の構造:因子分析から見えた2 因子構造」として、統合失調症患者の社会認知機能障害の因子分析の結果について、先行研究との比較を含めて発表したい。加えて、「社会認知の障害分類:クラスタ―分析から見えた社会認知機能障害のタイプ」として、統合失調症患者の社会認知機能障害にはどのようなタイプがあるのか、検討した結果をご紹介いただく。最後に、「社会認知による予測:機械学習から見えた予測モデル」として、精神疾患患者の社会参加を促進するための予測モデルを紹介する。
さらに、シンポジウムにおける学会参加者を含めた議論を通じて、上記研究の知見をどのように臨床現場に応用するかを議論し、日本の臨床現場でより広く長く使用されるような社会認知機能検査の在り方、社会認知機能障害に応じた望ましい臨床実践について、検討する。