賀古 勇輝 (北海道大学病院附属司法精神医療センター)
セッション情報
一般シンポジウム
一般シンポジウム21
精神鑑定、やってみませんか?
2024年6月20日(木) 13:25 〜 15:25 L会場 (札幌コンベンションセンター 2F 207会議室)
司会:岡田 幸之(東京医科歯科大学精神科)
メインコーディネーター:大澤 達哉(東京都立松沢病院)
サブコーディネーター:賀古 勇輝(北海道大学病院附属司法精神医療センター)
精神鑑定は、以前はごく一部の精神科医によって行われてきたが、医療観察法や裁判員裁判法などにより精神鑑定実施件数が増加し、現在は多くの精神科医が従事するようになった。それでも精神医学界全体から見ると、医療観察法に携わる医師や関心のある一部の医師に偏っており、地域によってはある特定の医師がその地域の精神鑑定のほぼすべてを担い、質の問題などが指摘されながらも他に依頼できる人がいないなど、合わせて人材不足の問題が指摘されている。実際、精神鑑定未経験の医師や若手医師が積極的に参入する状況にはなく、このままでは将来、鑑定人のなり手が減少し、社会の要請に十分に応えられなくなる可能性がある。鑑定人となる医師を増やす取り組みは、精神鑑定制度を維持するために最も基礎となるものである。そもそも、精神鑑定は臨床の延長線上にある、いわば究極の診断学であり、犯行への影響の評価など配慮しなければならないことはあるものの、臨床家にとっては特別なものではなく、司法精神医学を専門としない精神科医も携わることができる分野である。精神鑑定の裾野が広がれば精神鑑定に関する議論も活発になり、いまだ多くの問題が指摘される精神鑑定の質を向上させたり、問題の指摘される鑑定人の偏在を解消したりすることも期待できる。精神鑑定を担う医師を増やすには、未経験者や若手が興味を持ち、参入しやすい環境を整えることが重要である。本シンポジウムでは、JYPO 所属の若手医師から精神鑑定に関する率直な疑問や不安を聞き、立場やバックグラウンドの異なる演者(大学医学部教員、法曹資格を有する医師、精神科病院医師)が精神鑑定の実務・教育・研究などの現状と取り組み、その意義・魅力・あるべき姿などについて発表し、将来にわたり人材の途切れない持続可能な精神鑑定のあり方について議論する。
茨木 丈博1,2 (1.東京工業大学保健管理センター, 2.東京医科歯科大学大学院精神行動医科学分野)
大木 絵美梨 (東京都立松沢病院)
大澤 達哉 (東京都立松沢病院)