第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

一般シンポジウム

一般シンポジウム36
子供の司法精神医学(2):触法行為を働いた少年と児童精神医学

2024年6月20日(木) 15:40 〜 17:40 O会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームC)

司会:吉岡 眞吾(愛知県精神医療センター),太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)
メインコーディネーター:太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)
サブコーディネーター:吉岡 眞吾(愛知県精神医療センター)

オンデマンド配信対象外

119 回総会では「子供の司法精神医学-多職種・多組織による包括的なアプローチを目指して-」というテーマでシンポジウムを開催した。そこでは嚆矢として、刑法・少年法の研究者と児童相談所常勤弁護士を招き、成人と少年における刑事司法の相違点が説明された。児童相談所弁護士からは、児童の諸問題の対応に関して法律家の視点から報告された。この企画の背景には、我々精神医療者は成人の精神科医療を進める際には精神保健福祉法に精通すれば概ねの対応が可能であるが、児童の場合には、親権者同意の問題、児童福祉法の問題、その他学校教育の問題等、精神保健福祉法の知識のみでは対応が困難な問題も多いからであった。一方で児童精神医学の関与する子供には、行動上の問題として非行や触法行為を含む一群も存在する。そこで今回は触法行為を働いた少年の対応に児童精神医学の関与が必要になる場合についての現状や問題点等について検討を行いたい。シンポジストしては以下の4 名と指定発言者1 名の内諾を得ている。1)小國万里子;全国の少年院等での矯正教育を長年担当している。少年院で処遇される少年には近年自閉スペクトラム症の傾向を持つ者が多いこと等が指摘されており、その教育においても精神医学的な理解や知識が有用とされる。その実態や課題について報告。2)井口光奈;少年事案や刑事責任能力が争われた成人事案の経験がある弁護士。精神医学が関与する少年司法について報告。3)安藤久美子;少年の精神鑑定の経験から、その特徴や成人司法との相違について報告。4)吉岡眞吾;子供の精神科臨床において、司法精神医学的な問題を他組織・多職種との連携で対応した実例から、非行や触法行為を働いた子供の精神科医療について報告。指定発言者 橋本佳子;児童相談所所属の弁護士。子供に関わる法的問題に関してハブ機能を担当する者としての発言を。