片山 奈理子 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
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一般シンポジウム
一般シンポジウム37
役に立つポジティブ精神医学の現在の活用性と今後の発展性
Thu. Jun 20, 2024 3:40 PM - 5:40 PM P会場 (札幌市産業振興センター 技能訓練棟 3F セミナールーム1)
司会:徳永 雄一郎(不知火病院),髙橋 英彦(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科精神行動医科学)
メインコーディネーター:須賀 英道(龍谷大学)
サブコーディネーター:佐久間 啓(社会医療法人あさかホスピタル)
本学会のテーマ「真に役立つ精神医学」は実践指向性の重視された今後の精神医学の重要な視点である。この中で最近着眼されているのがポジティブ精神医学の活用であり、ネガティブ要因の原因解明と解決といった1 つの方向性に限定した視点ではなく、ネガティブ要因の寛容、受容性やポジティブ指向性といった視点に目を向ける多様性である。環境リソースの積極活用、自らの持つ強みの気づきと成長などポジティブ手法によって元来のレジリアンスを強化することも期待される。ポジティブ精神医学では、従来の伝統的精神医学の求めた精神病理や治療目標であった症状改善を相補する立場から、ポジティブ特性の強化によってウェルビーイングの増大、リカバリー、成功的加齢、ポストトラウマチック成長などが目標とされ、その有効性も実証されてきている。この方向性はレジリエンス強化など、予防を主眼とした精神医学の発展にもつながる。ポジティブ精神医学は、セリグマンの提唱したポジティブサイコロジーにもさかのぼる。セリグマンは、5 つのポジティブ特性、すなわち、ポジティブ感情、積極関与(フロー)、関係性(relationship)、生きる意味付け、目標達成感を主としたモデル(PERMA)をベースとしている。既にポジティブサイコロジーではこれまで数多くの実証研究結果が報告され、有効な手法については具体的に臨床、産業界、教育、地域活性化など様々な分野で用いられている。今回のシンポジウムでは現在既に活用されているポジティブ精神医学の実践手法について、外来臨床や産業界、大学教育、地域活性化などで、いかにうまく活用されているかを実践例を含めて紹介するとともに、今後の発展性についても提唱していく。
海原 純子 (昭和女子大学)
須賀 英道 (龍谷大学)
佐久間 啓 (社会医療法人あさかホスピタル)
大野 裕 (一般社団法人認知行動療法研修開発センター)