森野 百合子 (成増厚生病院なります子どものこころケアセンター)
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一般シンポジウム
一般シンポジウム44
日常の精神科診療の中で家族療法の考え方をどう活用するか:摂食障害・ADHD/ASD・うつ病・認知症編
Fri. Jun 21, 2024 8:30 AM - 10:30 AM K会場 (札幌コンベンションセンター 2F 206会議室)
司会:布施 泰子(茨城大学保健管理センター),森野 百合子(成増厚生病院/なります子どものこころケアセンター)
メインコーディネーター:布施 泰子(茨城大学保健管理センター)
サブコーディネーター:渡辺 俊之(渡辺医院/ 高崎西口精神療法研修室)
シンポジストは、いずれも家族療法をバックグラウンドに持つ精神科医である。2023 年の精神神経学会では、シンポジウム「同席面接の勧め」を組み、精神科診療における同席面接の一般的なことについて発表した。今回は、各シンポジストがADHD やASD・摂食障害・うつ病・認知症について、架空の症例の提示を含め、日常の診療の中で家族療法の考え方をどのように取り入れて実践しているかを述べる。また、その更なる可能性や問題点について、フロアを交えての議論を展開したい。家族療法では、関係性やシステムという概念を重視する。これらを意識することにより、患者だけを見ていては見えないものが見えるようになる。また、患者だけを対象とするのとは異なる関わりができる。例えば摂食障害の患者を診察するとき、同席する家族に患者の病状や治療方針を説明するだけでは勿体無い。共に診察室に入った親子が見せる生のやりとり(言葉・言葉以外)は、必ず治療のヒントとなる。そこに精神科医が加わって三者(以上)のシステムが作られ、治療に新しい展開が生まれる。また、患者は家族と一緒にいる時間が長いので、家族は治療における貴重な資源である。どのように家族に治療的に関わってもらうかは重要なポイントである。ADHD やASD・うつ病・認知症の治療においても基本は同じである。加えて、ADHD やASD の患者は、学校でのパフォーマンスの不良や家庭での暴力などが原因で、家族との関係が損なわれていることも多い。それに対する家族の反応が本人に悪影響を与え、悪循環が起こる。そこに気づいて変化を誘うことが必要である。うつ病の遷延は家族を疲弊させるし、家族との関係は予後に影響するので、家族療法の視点は重要である。また、認知症患者は全国に700 万人余り存在する。精神科医は家族という文脈で認知症診療に関わり、ケアを家族関係の中に再配置するプロセスを援助する必要があろう。
大森 美湖 (東京学芸大学保健管理センター)
中村 伸一 (中村心理療法研究室)
渡辺 俊之 (渡辺医院/高崎西口精神療法研修室)
布施 泰子 (茨城大学保健管理センター)