菊地 俊暁 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
セッション情報
一般シンポジウム
一般シンポジウム57
認知行動療法の臨床現場への普及における課題とさらなる発展を目指して
2024年6月21日(金) 10:45 〜 12:45 M会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームA)
司会:菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室),藤澤 大介(慶應義塾大学医学部医療安全管理部/精神神経科/国立がん研究センター)
メインコーディネーター:菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
サブコーディネーター:藤澤 大介(慶應義塾大学医学部医療安全管理部/精神神経科/国立がん研究センター)
認知行動療法(cognitive behavioral therapy、CBT)は、うつ病をはじめとして不安症や強迫症、摂食障害など多くの精神疾患の治療に用いられている。しかし依然としてCBT を十分に実施できる医療機関は限られており、治療を希望する多くの人に必ずしも提供できる状況ではない。社会実装という観点では未だ途上であると言える。そのため、本シンポジウムではその普及における課題をどのように克服するかを検討していきたい。最初に菊地から課題の整理と現在できる対応について紹介し、現在の我が国におけるCBT の実状について概観する。次に普及を促すための1 つの方略と位置付けられる個人CBT の研修事業について、現在の取り組みと今後の新たな展開について久我より紹介する。そして均てん化を目指した集団認知行動療法(cognitive behavioral group therapy、CBGT)の効果検証とその研修について藤澤が詳説する。さらに近年注目されているリカバリー志向型認知療法(recovery oriented cognitive therapy、CT-R)のプログラムについて、病棟あるいは訪問看護での活用について耕野より解説していく。CBGT は一度に提供できる対象者が多くなり、またCT-R は疾患横断的な治療技法として幅広く活用が可能なため、精神科病院やデイケアなどでの利用を想定することができ、本学会の会員にとって有益であると考えられる。加えて、現在開発中の適応障害に対するCBT について中川より報告し、外来や企業などで診療する機会の多い疾患に対する新たなアプローチについて共有していきたい。指定討論では、精神科病院に勤務している煙山から現場の声として何が求められているのか、また日本認知療法・認知行動療法学会(JACT)の前理事長である大野からはこれまでの歩みから経験した実装に向けた障壁という観点から、指定討論者として論点を紹介していく。なお、本シンポジウムはJACT の推薦を受けて申請されたことを付記する。
久我 弘典 (国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター)
藤澤 大介1,2,3 (1.慶應義塾大学医学部医療安全管理部, 2.慶應義塾大学医学部精神神経科, 3.国立がん研究センター)
耕野 敏樹1,2, 佐藤 康治郎2, 宋 龍平2, 藤原 雅樹2 (1.岡山大学学術研究院社会文化科学学域, 2.岡山県精神科医療センター)
中川 敦夫 (聖マリアンナ医科大学神経精神科学)
煙山 剛史 (桜ヶ丘記念病院)
大野 裕 (一般社団法人認知行動療法研修開発センター)