The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム59
精神科と脳神経内科の壁について考える

Fri. Jun 21, 2024 10:45 AM - 12:45 PM O会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームC)

司会:山田 了士(岡山県精神医療センター),柏原 健一(岡山神経内科クリニック)
メインコーディネーター:谷口 豪(国立精神・神経医療研究センター病院てんかん診療部)
サブコーディネーター:西尾 慶之(大阪大学行動神経学・神経精神医学寄付講座)

精神科(精神医学)と脳神経内科(神経学)は19 世紀まで一つの領域で、神経疾患と精神疾患の間には明瞭な区別はなかった。そして、20 世紀からは精神科と脳神経内科は分かれそれぞれの領域で専門性を強め発展し、次第に両者の間には垣根が作られ、いつの間にか高い壁が築かれた。しかし、21 世紀になり、精神疾患に神経症状が併存することや神経疾患に精神症状が併存することは珍しくないことが明らかとなり、両者は壁を挟んでそれぞれの道を進んでいればよい時代は終わりを迎えつつある。しかしながら、同一の疾患に対しても精神科と脳神経内科とでは考え方やアプローチが異なることもあり、長年にわたって築かれた壁は高く、厚いのが現状である。このような両者の間に未だ存在する壁に対して我々精神科医はどのように向かうのよいのだろうか、精神科と脳神経内科の境界領域の疾患に対して真に役立つ医療を提供するためにはどうしたらよいのか、各分野の専門家たちと共に考えてみたい。西尾氏は神経疾患で認められる精神症状や、内因性精神病における運動症状が高い頻度で認められことについて解説し、精神科と脳神経内科は互いの領域の知識と技術の共有の必要性について述べる。大町氏は精神科と脳神経内科などから構成される認知症センターの活動を紹介し、認知症診療における連携の課題・解決策について述べる。岩田氏は運動症状と精神症状が併存するレビー小体病の自験例紹介を紹介し、神経疾患の診療における脳神経内科と精神科の垣根を超えた知識の必要性を例示する。谷口氏はPNES(心因性非てんかん発作)ついて述べる。PNES は精神医学的には変換症、神経学的には機能性神経障害と診断される、かつてヒステリーと呼ばれていた疾患のサブタイプである。PNES を通じて脳神経内科と精神科が連携する可能性について述べる。