The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム6
多様性を促進する精神障害者雇用と企業支援の戦略:Individual Placement and Supportにおける企業連携

Thu. Jun 20, 2024 8:30 AM - 10:30 AM J会場 (札幌コンベンションセンター 2F 201+202会議室)

司会:水野 雅文(東京都立松沢病院),林 輝男(社会医療法人清和会西川病院)
メインコーディネーター:林 輝男(社会医療法人清和会西川病院)
サブコーディネーター:小山田 孝裕(特定医療法人大慈会三原病院),山口 創生(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)

多くの場合、人が働くときには個人(従業員)と雇用主(企業)が存在する。日本社会でEI(diversity, equity & inclusion)の重要性が認識される現在、その実現には個人と雇用主の双方へのアプローチが必要とされる。本シンポジウムでは、Individual Placement and Support(IPS)モデルにおける企業に対するアプローチ方法を紹介し、参加者とともに議論することを目的とする。過去10 年間において働く精神障害当事者数は大幅に増加する一方で、障害者雇用を巡っては、職場環境のミスマッチや短い雇用期間など問題がしばしば指摘されている。これらの課題は、当事者の個人の問題に起因する場合もあるであろうが、企業側が雇用上の問題(例:複雑な指揮系統や休息マネジメント)に直面していることもある。これらの課題から、障害雇用においては、現在、支援の質や雇用の質に注目が集まっている。IPS は、精神障害障害当事者の一般企業での就労率を約2 倍・就労期間を約3 倍向上させる個別就労支援として、国際的に認知される支援モデルである。就労アウトカムに関して、IPS が明確な効果をもたらす理由の一つとして、スタッフが職場開発だけでなく、企業支援や連携を積極的に行うことがあげられる。実際、IPS の原則には「系統的な職場開発」や「期限のない定着支援」が包含されており、企業支援をすることを明示している。他方、これまでのIPS に関する研究は、アウトカム評価や当事者に対する支援プロセスの解明を主として取り組んでおり、雇用の質を促進する企業支援の在り方や企業との連携方法について議論されることは少なかった。本シンポジウムでは、IPS における企業支援や連携方法に関する国際的な知見を共有し、国内でIPS を忠実に再現する札幌市と浜田市のIPS 機関の実践内容を紹介する。科学的に効果が示された就労支援における学術的な知見と実践報告はDEI の実現に向けた真に役立つ情報提供になると予想される。