第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

一般シンポジウム

一般シンポジウム61
精神・神経疾患とてんかんの病態的関連性Update

2024年6月21日(金) 13:25 〜 15:25 G会場 (札幌コンベンションセンター 1F 108会議室)

司会:曾根 大地(東京慈恵会医科大学精神医学講座),品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
メインコーディネーター:曾根 大地(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:高木 俊輔(東京医科歯科大学精神行動医科学分野),品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学精神医学講座)

てんかんは新生児から超高齢者まで全ての年齢で罹患しうる疾患である。必然的に全ての年齢で発症しうる精神・神経疾患と関わってくる可能性があるため、診療に関わるにあたり、多様な脳の病態とてんかんの関連について知っておくことが助けになるだろう。小児期では神経発達症(発達障害)との合併率の高さが以前から知られ、結節性硬化症の自閉スペクトラム症合併のみならず、様々な遺伝子や脳構造、神経伝達物質等の関与が示唆されている。てんかん発作は生じずとも脳波異常を認める頻度も高い。思春期以降では精神病や気分障害の併存率の高さに加え、近年は両者の双方向性の関係が提唱され、より生物学的なメカニズムに関する注目度が上昇している。また、てんかんと睡眠は独特の関係性があり、ノンレム睡眠でてんかん放電や発作が増加するのに対し、レム睡眠中はそれらが極端に減少するなど、両者には病態的に密接な関連が示唆される。睡眠時随伴症とてんかん発作の鑑別は臨床的にも重要な事項である。更に、脳神経内科疾患では、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症のように進行性ミオクローヌスてんかんを呈する一群があり、自己免疫脳炎や脳卒中におけるてんかん発症のメカニズムも近年注目されており、これらの知識を深めることは日常診療にも役立つ可能性がある。最後に、認知症疾患とてんかんの関係性は注目度を増しており、近年はてんかん発作自体が認知症の病因に寄与している可能性が示唆され、認知症にてんかんを発症した場合に認知機能低下が数年早まるというデータもある。本シンポジウムでは、このような全年齢にわたる多様な精神・神経疾患とてんかんの病態的関連性についての概説とアップデートを行う。狭義の精神症状との関連について提案者が緒言と共に述べ、神経発達症について中川栄二氏、睡眠障害について高木俊輔氏、脳神経内科疾患について久保田隆文氏、認知症について品川俊一郎氏に講演頂く