The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム66
オキシトシンの向精神作用と精神疾患治療応用への展望

Fri. Jun 21, 2024 1:25 PM - 3:25 PM N会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームB)

司会:溝口 義人(佐賀大学医学部精神医学講座),門司 晃(医療法人慈光会若久病院)
メインコーディネーター:溝口 義人(佐賀大学医学部精神医学講座)
サブコーディネーター:門司 晃(医療法人慈光会若久病院)

オキシトシン(Oxytocin)は視床下部で生成され,下垂体後葉で循環血中に放出されるニューロペプチドであり,分娩を促進し,射乳反射を惹起する作用がよく知られているが,視床下部室傍核および視索上核から脳内にも分泌され,愛情や子育て行動などに深く関与し,オキシトシン鼻腔内投与などの介入研究の結果から,他者への愛着,信頼,親和,共感,思いやりなどを深める作用を有すると報告されており,精神科医療においては,社会性を改善するなど自閉スペクトラム症における役割がとくに注目されてきた.さらにオキシトシンは利他的行動を促すなど社会的認知をはじめとして認知機能への多岐にわたる作用が着目されており,精神科医療においてオキシトシンの役割はさらに広がると期待される.本シンポジウムでは,オキシトシンの神経機能解剖学に関して最新の知見を紹介していただくことを皮切りに,オキシトシンの心と身体における多彩な役割,行動障害を伴う知的・発達障害児(者)とオキシトシン,高齢者の心理・認知機能におけるオキシトシンの役割といった課題に関して,それぞれの研究を紹介していただく.これらの知見を通じて、オキシトシンの多岐にわたる向精神作用を理解し,精神疾患治療応用への道のりを考える機会としたい.