第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

一般シンポジウム

一般シンポジウム67
日本の精神科領域における公衆衛生の新たな取り組み

2024年6月21日(金) 13:25 〜 15:25 O会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームC)

司会:谷口 研一朗(さが恵比須メンタルくりにっく),藤井 和世(おでかけクリニック/合同会社ももここら/任意団体いちかわみんなのほけんしつ/こころとからだ・光の花クリニック)
メインコーディネーター:藤井 和世(おでかけクリニック/合同会社ももここら/任意団体いちかわみんなのほけんしつ/こころとからだ・光の花クリニック)
サブコーディネーター:谷口 研一朗(さが恵比須メンタルくりにっく)

日本では個人あるいは社会全体のメンタルヘルスリテラシーが不足していると言われている。臨床で出会う精神疾患を発症する人の背景には、心の不調に対して、本人やその人の関わる社会システム全体が対応できず、段々と本人およびその家族が孤立し、発症に至った経緯が浮かびあがることがしばしばある。そして、医療にたどり着いた時には、当事者の苦悩は複雑なものとなり、診療は医療・福祉が地域から孤立し、孤軍奮闘するような形にならざるを得ない。このプロセスの中にはメンタルヘルスリテラシーの普及等の公衆衛生の取り組みがあれば防げた孤立があるのではないだろうか。本シンポジウムでは新しい公衆衛生の取り組みの事例を紹介し、これらの社会実装を考察する機会としたい。登壇者は大学、在宅療養支援診療所、医療以外の立場から以下の発表を予定している。1)若者の早期相談・支援窓口を医療の専門家が行い、様々な支援機関と連携し、必要に応じて就労やボランティアなどの社会参加も支援する実践2)ACT;Assertive Community Treatment から生まれた地域のボランティアと心の専門家が共に開く“ 暮らしの保健室” の活動
3)在宅療養支援診療所の診療ネットワークから生まれた地域の関係機関と協働し実施してきた対話的なまちづくりの活動4)医療と行政が連携し、地域を巻き込んでオープンダイアローグとトラウマインフォームドケアについて体験的に学ぶ機会を提供する実践5)当事者を含めた専門領域を超えたコプロダクションで行うメンタルヘルスリテラシーの普及活動 これらの取り組みを通して、医療・福祉だけでない地域のネットワークが構築され、様々な相互扶助が活発に起きると、豊かなつながりの中で誰もが自分らしく生きることができる社会が実現するのではないか。本シンポジウムを通してこれからの日本における公衆衛生の取り組みのありかたを提案したい。

谷口 研一朗1,2, 小沼 聖治2,3, 坂本 将吏2,4, 矢部 滋也2,5, 白澤 珠理2,6 (1.さが恵比須メンタルくりにっく, 2.TOMY'S ACTION CLUB, 3.聖学院大学心理福祉学部心理福祉学科, 4.認定NPO法人侍学園スクオーラ・今人沖縄校, 5.一般社団法人北海道ピアサポート協会, 6.医療法人常清会相談支援事業所ドライブ)