第120回日本精神神経学会学術総会

セッション情報

一般シンポジウム

一般シンポジウム69
リカバリーにおける働くことの意義とは

2024年6月21日(金) 15:40 〜 17:40 B会場 (札幌コンベンションセンター 1F 大ホールA)

司会:渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室),菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
メインコーディネーター:渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室)
サブコーディネーター:菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)

オンデマンド配信対象外

昨今、精神疾患における「リカバリー」についてはさまざまな角度から検討されている。医療者の視点からは「臨床的リカバリー」と呼ばれる、症状や機能といった疾患モデルで説明される概念となる一方、当事者の視点では「パーソナルリカバリー」、すなわち一人ひとりにとって回復したと感じられる状態を指し、個人によって大きく異なるものを指す。最近では社会的リカバリーという、仕事や勉強、家庭生活など社会生活機能の回復を目標とすることも提唱されている。そこで本シンポジウムは、そのパーソナルリカバリーあるいは社会的リカバリーにおいて、重要な社会との接点の1 つであり、またやりがいや役割といったものが育まれる「働くこと」に焦点を当てて議論を展開したい。ゆまさんと松浦さんからは、それぞれうつ病や双極性障害の当事者としての観点から、働くことがリカバリーとどのように繋がっているのか、そしてどんなことが社会に求められているのかについて論じてもらう。石井と阿竹からは、それぞれ産業場面における心理士・支援職ならびに産業医としての立場から、パーソナルリカバリーを達成するために必要なことや配慮すべき点、そして企業としての取り組みや困難な点について述べてもらう。指定討論として菊地は臨床医の立場から、医療がどのように関わり、また支援することで、より良い環境構築に寄与できるのかを検討していく。なお、コーディネーターである渡邊・菊地は、昨年と一昨年の本学術総会において、精神疾患におけるリカバリーの意義について、当事者やメディア、省庁などと共にシンポジウムにて議論を深めてきた。今回のシンポジウムはさらに社会との接点に焦点を当て、当事者の方が何を望んでいるのか、また精神医学はどのような方向性を持って関わっていくべきなのか、について論を展開していく予定である。本総会の「真に役立つ」というテーマに合致するシンポジウムであると考えている。