The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム7
ミスマッチ陰性電位の精神疾患バイオマーカー活用の現状

Thu. Jun 20, 2024 8:30 AM - 10:30 AM M会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームA)

司会:住吉 太幹(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・予防精神医学研究部/国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部),矢部 博興(福島県立医科大学・こころと脳の医学講座)
メインコーディネーター:矢部 博興(福島県立医科大学・こころと脳の医学講座)
サブコーディネーター:住吉 太幹( 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・予防精神医学研究部/国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部),志賀 哲也(福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座)

オンデマンド配信対象外

統合失調症や気分障害など多くの精神疾患において、現在のところ有用なバイオマーカーは存在しない。それでも、精神医学の診断と治療を客観的であろうと追及する限り、バイオマーカーの存在は必要かつ不可欠である。ミスマッチ陰性電位(Mismatch negativity: MMN)は、その生理学的な特徴とともに、NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体機能を反映する生化学的特徴と、上側頭回を発生源とする解剖学的特徴がはっきりしている聴覚事象関連電位(Event-related potential: ERP)である。こうしたERP の特徴がはっきりしていることにより、病態を理解するための重要な情報を本検査は我々に提供してくれるが、MMN のさらに重要な点は、統合失調症で一貫した異常が報告され、かつ精神病ハイリスクにおいて統合失調症発症や機能的予後をこのERP が予測するという報告が相次いでなされていることにあり、統合失調症の有用なバイオマーカーとして期待されている。気分障害や神経発達症においてもMMN の異常は報告されているが、MMN はこれらの疾患に共通する病態の一部を反映しているかもしれないし、使用するパラダイムによっては、今後これらの疾患の鑑別にも応用可能かもしれない。また、上述のようにNMDA 受容体機能を反映するMMN は、薬物治療等による機能の回復を定量化することが可能であり、治療反応性のバイオマーカーとしても有用かもしれない。本シンポジウムでは、統合失調症や神経発達症、精神薬理など各分野のMMN研究者が最先端の研究成果を報告し、バイオマーカー応用のための議論を行う。

切原 賢治1,2, 越山 太輔2, 西村 亮一2, 臼井 香2,3, 藤岡 真生2, 多田 真理子2,4, 荒木 剛2,5, 笠井 清登2 (1.東京大学バリアフリー支援室, 2.東京大学医学部附属病院精神神経科, 3.国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所, 4.順天堂大学医学部精神医学講座, 5.帝京大学医学部附属溝口病院精神科)

樋口 悠子1,2, 住吉 太幹3,4, 金子 直史1,2, 長澤 和也1,2, 赤﨑 有紀子1,6, 高柳 陽一郎1,5, 笹林 大樹1,2, 髙橋 努1,2, 辻井 農亜6, 鈴木 道雄1,2 (1.富山大学学術研究部医学系神経精神医学講座, 2.富山大学アイドリング脳科学研究センター, 3.国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・予防精神医学研究部, 4.国立精神・神経医療研究センター病院精神診療部, 5.四方会有沢橋病院, 6.富山大学こどものこころと発達診療学講座)