久我 弘典 (国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター)
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一般シンポジウム
一般シンポジウム75
リカバリーを目指す認知療法(recovery-oriented cognitive therapy: CT-R)の本邦への適用
Fri. Jun 21, 2024 3:40 PM - 5:40 PM O会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームC)
司会:久我 弘典(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター),松本 和紀(こころのクリニックOASIS)
メインコーディネーター:松本 和紀(こころのクリニックOASIS)
サブコーディネーター:久我 弘典(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター),耕野 敏樹(岡山大学学術研究院社会文化科学学域/岡山県精神科医療センター)
リカバリーを目指す認知療法(recovery-oriented cognitive therapy: CT-R)は、認知療法の創始者Aaron T Beck が、2021 年に100 歳で亡くなる直前まで、多くの同僚と伴に開発に取り組んだ新たな認知療法である。CT-R は、統合失調症などの重篤な精神疾患をもち、繰り返しの失敗を体験したり、人や社会とのつながりを失ったりした人たちのリカバリーに向けられた治療法であるが、その後は様々な精神的不調にも使われるようになっている。CT-R は、その人たちが心の底から人生に求める望みであるアスピレーション(aspirations)を見いだし、その実現に向けて取り組むための原理や方法論から構成される。その人たちの抱える症状や問題はアスピレーションの実現を阻むチャレンジ(challenges)として捉え直され、治療者や支援者は日常生活の中でアスピレーションを実現するためのポジティブな活動を促すことで、その人のポジティブ信念を強化し、ネガティブな思い込みを弱めていく働きかけをする。CT-R は、陰性症状が顕著で機能の低い統合失調症を対象にしたランダム化比較試験で効果が示されている。人を中心としたアプローチであるCT-R は、様々な治療・支援法と組み合わせて、個人でもグループでも柔軟に適用できる。米国では、外来、コミュニティーチーム、急性期病棟、長期入院病棟、居住型支援サービス、矯正施設、早期介入など様々な領域で成果を挙げている。本邦では、2022 年に認知行動療法センターがCT-R のオンライン研修を実施し、2023 年にはCT-R のテキストの邦訳が刊行されるなど、CT-R の導入が始まり、いくつかの施設で新たな実践が試みられ始めている。本シンポジウムでは、CT-R の包括的な紹介を行い、本邦において精神科病院、地域包括ケア、精神科診療所で実際にCT-R の導入や実践を試みた経験を共有し、CT-R について理解を深め、この治療アプローチの本邦への普及の可能性や課題について実践的な議論を行う。
徳山 明広 (一般財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん)
松本 和紀 (こころのクリニックOASIS)
耕野 敏樹1,2, 佐藤 康治郎2 (1.岡山大学学術研究院社会文化科学学域, 2.岡山県精神科医療センター)
大野 裕 (一般社団法人認知行動療法研修開発センター)
牧野 みゆき (厚生労働省 社会・援護局障害福祉部精神障害保健課)