根本 隆洋1,2 (1.東邦大学医学部精神神経医学講座, 2.東邦大学医学部社会実装精神医学講座)
セッション情報
一般シンポジウム
一般シンポジウム76
精神科早期介入の社会実装に向けた産学官連携の可能性
2024年6月21日(金) 15:40 〜 17:40 P会場 (札幌市産業振興センター 技能訓練棟 3F セミナールーム1)
司会:藤井 千代(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所),根本 隆洋(東邦大学医学部精神神経医学講座/東邦大学医学部社会実装精神医学講座)
メインコーディネーター:根本 隆洋(東邦大学医学部精神神経医学講座/東邦大学医学部社会実装精神医学講座)
サブコーディネーター:福井 英理子(正永会港北病院),内野 敬(東邦大学医学部社会実装精神医学講座)
精神医学領域における早期介入は、精神疾患の予防・回復やメンタルヘルスの維持に効果を認めることが、世界各地の先行研究で明らかにされてきた。また、豪州など先駆的な国々においては、地域の精神保健医療システムに早期介入が導入・実装されてきている。早期介入の対象は全年齢層に及ぶものの、精神疾患の多くが20 歳代半ばまでに発症するとの知見を踏まえると、若年者を対象としたサービスが特に重要である。しかし、わが国において、早期介入への理解は高まりつつあるものの、臨床や地域保健における実践は広がりをみせていないのが現状である。本邦における関連制度や若年者の心性を踏まえた、実現性の高い早期介入の検討と導入が欠かせない。
今後、市区町村が主体となり「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築がなされていく。本システムに早期介入を、中でもファーストコンタクトとなりうる「早期相談・支援サービス」を導入することは、メンタルヘルスの維持や精神疾患の予防につながり、システムを長く持続可能なものにするためにも不可欠である。また、わが国に早期介入を導入するための好機であるとも考えられる。
メンタルヘルスや精神疾患早期段階への介入については、近年の研究や実践から得られた知見を実装可能な形で速やかに活かすとともに、公的のみならず民間関連機関や企業を含めた種々の社会資源の活用とシナジー効果が期待される。また、それを可能にする政策や制度の整備が望まれる。本シンポジウムでは、札幌市内の訪問看護ステーションやヘルスケア事業を推進する企業を含む、多様な立場のシンポジストおよび指定発言者が、産学官および実装科学の視点から発表をする。「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制」を備えた「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、特に若年者に向けた早期相談・支援の社会実装を軸とした議論を行い、諸方面への提言につなげたい。
伊東 新太郎, 不京 誠 (訪問看護ステーションCISE)
礒野 浩嗣 (日本生命保険相互会社)
今村 晴彦1,2 (1.長野県立大学大学院健康栄養科学研究科, 2.東邦大学医学部社会実装精神医学講座)
○藤井 千代 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)