The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム8
うつ病シンギュラリティ:ガイドラインだけでは立ち向かえない臨床のために

Thu. Jun 20, 2024 8:30 AM - 10:30 AM P会場 (札幌市産業振興センター 技能訓練棟 3F セミナールーム1)

司会:小林 聡幸(自治医科大学精神医学講座),田中 伸一郎(東京藝術大学)
メインコーディネーター:小林 聡幸(自治医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:西依 康(自治医科大学精神医学講座)

1980 年のDSM-III 以降、気分障害、なかんずくうつ病の診断面では、内因性と神経症性の揺れ、双極性と単極性の統合と分離など、操作的診断カテゴリーの変動に翻弄されつつ、その治療面では選択的セロトニン再取込阻害薬以降の新薬の上市による選択肢の増加とともに、いわば治療的対応が安直化した。うつ病の診療は必ずしも進化・深化していないのが現状ではないかと思われる。いまいちどうつ病の診断と治療を見直す端緒としてこのシンポジウムを企画する。つまり、診断や治療における特異点を見出し、よりよい臨床に貢献することが目指すところである。シンポジストには、病前性格論と発症状況論を見直して、発症の特異点を燻し出すこと、双極症を病んだアーティストの著作から自己治癒の試みとパートナーの対応の叡智を読みとって、精神療法的対応の特異点を見出すこと、統合失調症における非特異的なものに注目した中井久夫の業績から、うつ病に関
する著述を拾い集めて、うつ病における非特異的な注目点を探ることを依頼した。確かに操作的診断やガイドラインは役に立つ。しかし真に役立つものとは必ずしも今すぐに役立つものではなく、じわりと深いところから効いてくるものであることは臨床家ならば体感しているものであろう。そうした臨床的知恵に迫り、真に役立つ精神医学という学会テーマに寄与したい。