The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム81
サイコロジカル・ファーストエイドを用いたCOVID-19に起因するメンタルヘルス問題への相談システムの構築

Sat. Jun 22, 2024 8:30 AM - 10:30 AM D会場 (札幌コンベンションセンター 1F 中ホールB)

司会:中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学),久我 弘典(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター)
メインコーディネーター:中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
サブコーディネーター:久我 弘典(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター),村山 桂太郎(九州大学病院精神科神経科)

2020 年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックをきっかけに、世界中で一般住民のメンタルヘルスが増悪した。本邦では自殺率が上昇に転じる状況となり、感染リスクを可能な限り減じながら一般住民のメンタルヘルスを維持し、必要に応じて精神科医療に橋渡しをするシステムの構築が喫緊の課題となった。演者らは日本医療研究開発機構の支援を受け、応急的遠隔対応型メンタルヘルスケアシステムである「KOKOROBO」を立ち上げ、その妥当性と実用性の検証を行っている。このKOKOROBO は、メンタルヘルスに関する相談希望者がオンライン上で質問に回答し、それをアルゴリズムにて重症度を判定し、人工知能を用いたチャットボットや、相談員がオンライン上で相談を受けるシステムである。このシステムの中心的役割を担うのが、ジョンズホプキンス大学で開発されたサイコロジカル・ファーストエイド(RAPID-PFA)を用いた、相談者の心理的トリアージや認知的介入である。本シンポジウムの目的は、COVID-19 によって生じたメンタルヘルスの問題を総括し、国民のメンタルヘルスの維持向上のためインターネットを使用した遠隔相談の社会実装とその課題について幅広く議論することである。第1 演者の中尾智博から、感染拡大時のメンタルヘルス相談や罹患後症状について話題提供を行う。第2 演者の大矢希はKOKOROBO の相談員が使用しているRAPID-PFA について説明する。第3 演者の村山桂太郎は、RAPID-PFA の研修会により相談員の自己効力感が増したことを報告する。第4 演者の久我弘典は、KOKOROBO の概要を説明し、第5 演者の日吉史一はKOKOROBO 相談員が対応した相談の現状と今後の課題について報告を行う。これらの話題提供のもと、オンラインによるメンタルヘルスケアシステムの社会実装とその課題について討論したい。

村山 桂太郎1, 久我 弘典2, 大矢 希3, 高橋 晶4, 萱間 真美5, 中尾 智博6 (1.九州大学病院精神科神経科, 2.国立精神神経医療研究センター認知行動療法センター, 3.京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学, 4.筑波大学医学医療系臨床医学域災害・地域精神医学, 5.国立看護大学校, 6.九州大学大学院医学研究院精神病態医学)

日吉 史一1,2, 藤井 猛1, 竹田 和良1, 金田 匠海1, 久我 弘典2,3, 小居 秀紀1, 鬼頭 伸輔1,4, 飯島 由佳1, 岩田 遼3,5, 大庭 真梨1, 村山 桂太郎6, 吉見 明香7, 菊地 俊暁5, 中尾 智博8, 渡邊 衡一郎9, 中込 和幸1 (1.国立精神・神経医療研究センター, 2.東京慈恵会医科大学大学院医学研究科医学系専攻博士課程連携大学院脳病態制御学, 3.国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター, 4.東京慈恵会医科大学精神医学講座, 5.慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室, 6.九州大学病院精神科神経科, 7.横浜市立大学附属市民総合医療センター精神医療センター, 8.九州大学大学院医学研究院精神病態医学, 9.杏林大学医学部精神神経科学教室)