菊地 俊暁 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
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一般シンポジウム
一般シンポジウム93
精神医学におけるMeasurement based careの必要性
Sat. Jun 22, 2024 10:45 AM - 12:45 PM M会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームA)
司会:加藤 正樹(関西医科大学医学部医学科精神神経科学講座),菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
メインコーディネーター:菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
サブコーディネーター:加藤 正樹(関西医科大学医学部医学科精神神経科学講座)
精神医療においては、診察室や病棟でどのような医療が行われているのか、また自分の受けている治療が標準的なものなのか、といった治療経過や治療選択のプロセスが、他の医療分野と比較して見えにくいのが実情である。そのため評価尺度などの客観的な数値や指標によって状態を可視化し、それに基づいた治療やケアの決定を行うMeasurement Based Care(MBC)という考え方が提唱されてきた。諸外国の精神医療の現場ではすでに注目され、そして徐々に導入されており(米国では18%;Zimmerman ら, 2008)、実際に医療の質やアウトカムの向上に至ることが報告されている(Guo ら、2015)。しかし、未だ本邦で実施している医療機関は少ない。それには、人的リソースの不足や測定指標の問題、医療者や当事者の受容性といった課題が普及への障害となっている。そこで本シンポジウムでは、菊地よりMBC についての概説を行い、導入のメリットやデメリット、そして乗り越えるべき課題について論じる。そして加藤からはうつ病や双極性障害の治療においてどのように実践しているか、現場での工夫や普及のための方略について紹介する。高江洲からは睡眠障害におけるMBC とは何か、どのように行なっていくことが効果的なのかについて論を展開する。堀からは統合失調症や精神疾患における認知機能障害について、臨床でどのような検査バッテリーや検査体制が組めるのか、導入することの医療サイドの利点についても紹介する。指定討論として渡邊からはMBC 普及の障害や当事者側の受け入れについて述べ、シンポジスト全員で討議を行うことで論を深めていきたい。医療の可視化というものは精神医療におけるアンメット・メディカルニーズの1 つであり、本シンポジウムはこれからの精神医療のあるべき姿を論じる上で重要であると考えている。
加藤 正樹 (関西医科大学精神神経科学講座)
高江洲 義和 (琉球大学大学院医学研究科精神病態医学講座)
堀 輝 (福岡大学医学部精神医学教室)