The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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一般シンポジウム

一般シンポジウム99
神経発達症と神経多様性

Sat. Jun 22, 2024 1:15 PM - 3:15 PM M会場 (札幌市産業振興センター 産業振興棟 2F セミナールームA)

司会:小坂 浩隆(福井大学医学部精神医学),辻井 農亜(富山大学附属病院こどものこころと発達診療学講座)
メインコーディネーター:小坂 浩隆(福井大学医学部精神医学)
サブコーディネーター:辻井 農亜(富山大学附属病院こどものこころと発達診療学講座)

オンデマンド配信対象外

DSM やICD による診断基準が整備され、今や、注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)など神経発達症(Neurodevelopmental Disorders, ND)は、精神科臨床においては身近なものになってきた。特にこの10 年は急激に普及し、一般の方にも神経発達症の名称は浸透してきたと感じる。しかし、実際には、正確な診断や適切な対応が十分になされていないのではないか、神経多様性(Neurodiversity, ND)として社会に受け入れられているであろうか。私たち精神科医が、神経発達症と神経多様性としての概念をどのようにとらえ、どのように対応していくべきなのか、今一度、ともに考えていきたい。20 年以上前は「神経発達症、発達障害」という概念すら一般精神科臨床場面にはなかったと言っても過言ではない。いわゆる古典的な知的障害を合併している自閉症群がいる、子どもに落ち着きのないADHD 児がいるという認識にとどまり、目の前に表れる精神疾患をもつ成人の方に神経発達症が隠されているとは考えられなかった。かつての精神科臨床は、多くの方々(特に成人症例)の神経発達症特性を見逃し、十分な対応ができていなかった。時は流れた現在、神経発達症の立ち位置や今わかっているエビデンスを学び、そして、それらを臨床場面にフィードバックしていくことが重要である。児童期から成人期まで、その方の人生が連続しているのは当然であり、神経発達症特性も連続しているのである。どの世代においても、臨床症状の出現形式が変わっても続いていることを我々は知らなければならない。神経発達症と神経多様性、2 つのND の概念を改めて考えていきたい。特に、若手医師の先生方には、当たり前のように神経発達症を持つ方々に寄り添える医師になってほしい、そのように願い、本シンポジウムを提案する。