The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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ワークショップ

ワークショップ10
映像で学ぶ初診面接:薬物療法を拒む/望まない患者編

Sat. Jun 22, 2024 1:15 PM - 2:55 PM L会場 (札幌コンベンションセンター 2F 207会議室)

司会:菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室),南澤 淳美(京都府立医科大学精神医学教室)
メインコーディネーター:今井 淳司(東京都立松沢病院精神科)
サブコーディネーター:菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)

委員会:精神療法研修委員会

精神科臨床において、「薬物療法を拒む/ 望まない患者」には、まれならず遭遇する。患者の主体性、自律性を最大限に尊重するのが精神療法の基本ではあるものの、患者の利益のために服薬行動へ誘導したり、非同意下での薬物療法が必要な状況もある。特に、精神科専門医取得にあたって「経験すべき治療形態」とされる「救急」や「行動制限」を必要とする治療場面では、服薬を巡る介入は不可避である。また、これらの患者の状態像や服薬拒否の理由は、「薬自体をなるべく避けたいから」といった了解可能なもの、被毒妄想や精神病性の拒絶に基づくもの、など様々であり、経験を積んだ精神科医であっても介入には苦慮することと思われる。よって、これらの患者に対する精神療法的接近は、全ての精神科医にとって必須かつ深遠なテーマだといえる。 近年、患者と医師が共同的に語り合い治療内容を決める共同意思決定(Shared Decision Making : SDM)の考え方が広まり、尊重と信頼に基づく関係性構築により病識の乏しい患者へ介入するLEAP(Listen, Empathize, Agree, Partnership)といった介入法などが紹介されている。他方、このような患者に対する介入を、具体的な面接を通じ解説する実践的な学習の機会は少なかった。精神療法研修委員会では、「映像で学ぶ初診面接」と題し、異なる精神療法を専門とする精神科医による模擬患者に対する精神科外来における初診面接を映像で紹介し、解説・講義を行うワークショップを開催してきた。今回は、それぞれ認知行動療法、森田療法、動機づけ面接を背景とする原田、新村、今井による「薬物療法を拒む/ 望まない患者」に対する外来初診模擬面接を通じ、このような患者に対する精神療法的関与を深掘りする。参加者の、「明日からの診療」に役立つワークショップとしたい。