The 120th Annual Meeting of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

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ワークショップ

ワークショップ9
そこが知りたい! 刑事精神鑑定のコツ

Sat. Jun 22, 2024 10:45 AM - 12:25 PM L会場 (札幌コンベンションセンター 2F 207会議室)

司会:今井 淳司(東京都立松沢病院精神科),山口 大樹(東邦大学医学部精神神経医学講座)
メインコーディネーター:田口 寿子(神奈川県立精神医療センター)
サブコーディネーター:今井 淳司(東京都立松沢病院精神科)

委員会:司法精神医学研修委員会

刑事精神鑑定(以下、鑑定)は、かつて限られた一部の精神科医が実施していたが、2005 年に医療観察制度が、2009 年に裁判員裁判制度が開始されてから鑑定件数が激増し、鑑定に従事する精神科医の裾野は広がっている。一方で鑑定では、一件記録の活用法、面接の進め方、鑑定書の書き方、診断や精神障害の犯行への影響に関する説明の仕方、法廷で証言する時の心がまえや鑑定結果の提示方法、など、日常臨床とは異なる技能が求められる。そのため、特に鑑定を始めたばかりの精神科医はとまどうことも少なくないだろう。鑑定に必要な技能が習得されていないと不十分な(あるいは誤った)鑑定になり、法曹による刑事責任能力判断が正しく行われず、被疑者・被告人の刑事処遇を誤った方向に導くおそれもあり、鑑定に取り組む精神科医には、鑑定に必要なスキルを高めることが欠かせない。
司法精神医学研修委員会は、鑑定に関する研修会を毎年2 回開催し、学術総会でもシンポジウムやワークショップを実施してきた。今回の学術総会では、「教科書などでは得られない、鑑定のコツ、ベテラン鑑定人の工夫のようなものを知りたい」という声を受けて、フォーラム形式でのワークショップを企画する。具体的には、模擬鑑定人1 名(高尾)、質問者役2 名(崎川、中岡)、鑑定経験の豊富な3 名(赤崎、中島、田口)の精神科医が登壇する。前半は、模擬鑑定人が受託から法廷での尋問までの鑑定の流れを提示し、その節目ごとに質問者役から特に鑑定の初学者が抱くであろう質問をする。鑑定経験が豊富な3 名の精神科医は、その質問に答えながら、それぞれが鑑定時に心がけていること、困難な場面での工夫や「コツ」などを伝授する。後半は、フロアも巻き込み、参加者全員で鑑定手法に関する理解を深めたい。初学者からベテランまで、鑑定に関心を持つ会員のスキルアップの場となるよう、多くの参加を期待している。