第51回日本理学療法学術大会

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日本運動器理学療法学会

日本運動器理学療法学会
理学療法士のアイデンティティ―理学療法士のこれからの進むべき方向―

Fri. May 27, 2016 6:50 PM - 7:50 PM 第1会場 (札幌コンベンションセンター 1階 大ホールA)

司会:山田英司(回生病院)

[KS1001-1] 理学療法士のアイデンティティ―理学療法士のこれからの進むべき方向―

福井勉 (文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科)

第51回日本理学療法学術大会となる本学会では,半世紀を超えてわれわれはどのような方向に向かうべきなのか考えてみたい。この半世紀の間に我が国の理学療法は類稀な進歩をしてきたと考えられる。医療の発展に寄り添ってきたことはもちろんだが,医療福祉制度の改革とも共に歩んできた。歴代協会会長が理学療法士の質について警鐘を鳴らし続けてきたように我々自身の質についてさらに深く考える必要があるように思う。理学療法士が対象者と向き合う場面は病期にも寄らないし,まして国のどこに行っても変わらない姿である。さらにこれは海外でも基本的には変わらない。職場についても,自分と対象者以外の景色が異なるだけである。理学療法士個人がまず改善できるのは,この対象者と向き合う場面である。若い職種である我々はまずはここに自らの改善を求めるべきである。そのための第一条件は自分の客観視,すなわちメタ認知を高めることであると私は思う。いくら臨床経験が長くても,自分の経験には限界がある。また自分の位置を鳥瞰図的に観察することも容易ではない。以前,風通しの悪い職場に閉じこもっているばかりの恐ろしい風景を見たことがある。私が学生だった30年以上前と変わらない理学療法,自らを高める努力は皆無であり逆に実習生に対して理不尽な要求をしている場面であった。そこで勤務する理学療法士は自らが優秀だと思っている雰囲気まで感じ,気分が悪くなったのを覚えている。メタ認知を高めなければならない。例えば自分以外の職場で行われている理学療法をみること,学会や研修会に参加すること,さらに自分の意見を発表すること,できれば機会を作って海外を見ることなどで全く異なった方向性を知る。さらに重要なことは,自分と異なる意見を受け入れることが可能になることである。それはまさに人間性を広げることに他ならない。セミナーでは利他主義,意志力などについて述べるつもりである。