第51回日本理学療法学術大会

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日本運動器理学療法学会

日本運動器理学療法学会
運動器理学療法評価の再考―運動機能障害を見つけ治療デザインをどのように組み立てるか―

Sat. May 28, 2016 9:30 AM - 11:30 AM 第1会場 (札幌コンベンションセンター 1階 大ホールA)

司会:竹井仁(首都大学東京健康福祉学部理学療法学科), 山崎肇(羊ヶ丘病院リハビリテーション科)

[KS1003-2] MSIコンセプトを用いた運動機能障害の評価と治療

高間省吾 (千葉メディカルセンターリハビリテーション科)

術後や外傷後の理学療法では,医学的診断名のもと医師の指示や病期を考慮しプロトコルに即した評価・治療を実施する。しかし,正常な治癒過程から逸脱し過用・誤用から抜け出せず悪循環に陥ってしまっているような症例の場合(慢性腰痛・頸部痛・四肢関節痛など),何を手掛かりに評価・治療を進めれば良いのか?様々なコンセプトに基づいた理学療法評価・治療方法の中には,愁訴をもとに姿勢や運動様式の評価・治療に着目した方法としてMovement System Impairment(以下MSI)がある。MSIコンセプトでは,複数の体位での姿勢・運動様式の観察を含む系統的な運動検査を繰り返すことにより,症状を引き起こす機械的ストレスの方向(Directional Susceptibility to Movement:以下DSM)を見つけ出すことと並行して,標準的な検査(関節可動域,徒手筋力検査法,筋長検査,筋インバランス,相対的柔軟性,動員パターン,構造的多様性など)の評価結果や年齢,性別,生活習慣などの修飾因子を考慮しDSMの関与因子も明確にする。
治療目標は日常生活活動中の姿勢・運動様式の修正を含めた患者教育と,エクササイズを中心に患者さん自身がDSMを制御することである。その際,治療の焦点を患者教育に置くか,あるいはDSMに関与する機能障害に置くかを詳細な評価によって決定し治療プログラムをデザインする必要があるが,MSIの系統的運動検査の実施によりそれは可能となる。このように,治療目標の一貫性と患者さんの個別性を両立できる点はMSIコンセプトの特徴と言える。
本シンポジウムでは,運動機能障害の評価・治療の実際的な取り組みを紹介しながら,MSIコンセプトによる治療デザインについて解説する。