[KS1013-1] アキレス腱障害発生メカニズムの解剖学的・生体力学的検証
下肢のoveruse障害は,安静や運動制限により症状が寛解するが,有効な治療法や予防法が確立されていないため,再発を繰り返す症例が多いことが問題視されている。その原因の一つとして,障害発生部位の詳細な解剖学的所見に基づいた,発生メカニズムの解明が不十分であることが問題であると考える。そこで我々は,下肢の中でも発生率の高いアキレス腱(AT)障害(Noninsertional Type)の発生メカニズムについて,日本人固定遺体を用いて解剖学的・生体力学的に検討を行ってきた。本講演では,その研究結果を紹介する。
AT障害の発生メカニズムとしては,近年では踵骨の過回内時にAT内の歪みが不均一であることが要因として重要視されている。この原因としては,ATの捻れ構造が関与している可能性が示唆されているが,ATの捻れ構造には一定の見解が得られていない。そこで,60体111側を対象にATの捻れ構造を腓腹筋内側頭,外側頭(LG),ヒラメ筋(Sol)の付着する腱線維束レベルで検討した。その結果,Solが深層全体に配列しているTypeI(軽度:50%),LGとSolが深層に配列するTypeII(中等度:43%),LGが深層全体に配列するTypeIII(重度:7%)の3Typeに分類できた。特に,SolはTypeIIIにおいて,強く捻れながら走行していた。次に,この分類を基に,踵骨を回内・回外方向に動かした際に各腱線維束に加わる伸張度(%)を,捻れのType毎に検討した。方法は,3DデジタイザMicroScribe装置を使用してATを3次元構築し,回内・回外方向に踵骨を動かした際の各腱の伸張度(%)を,シミュレーションして算出した。その結果,特にTypeIIIでは,踵骨の回内時にSolの伸張度が大きく,更にSolを構成する各腱線維の伸張度が異なった。従って,踵骨回内時にはAT内に加わる歪みが一様ではなく,特に,TypeIIIではAT障害の発生リスクが高まる可能性が示唆された。
AT障害の発生メカニズムとしては,近年では踵骨の過回内時にAT内の歪みが不均一であることが要因として重要視されている。この原因としては,ATの捻れ構造が関与している可能性が示唆されているが,ATの捻れ構造には一定の見解が得られていない。そこで,60体111側を対象にATの捻れ構造を腓腹筋内側頭,外側頭(LG),ヒラメ筋(Sol)の付着する腱線維束レベルで検討した。その結果,Solが深層全体に配列しているTypeI(軽度:50%),LGとSolが深層に配列するTypeII(中等度:43%),LGが深層全体に配列するTypeIII(重度:7%)の3Typeに分類できた。特に,SolはTypeIIIにおいて,強く捻れながら走行していた。次に,この分類を基に,踵骨を回内・回外方向に動かした際に各腱線維束に加わる伸張度(%)を,捻れのType毎に検討した。方法は,3DデジタイザMicroScribe装置を使用してATを3次元構築し,回内・回外方向に踵骨を動かした際の各腱の伸張度(%)を,シミュレーションして算出した。その結果,特にTypeIIIでは,踵骨の回内時にSolの伸張度が大きく,更にSolを構成する各腱線維の伸張度が異なった。従って,踵骨回内時にはAT内に加わる歪みが一様ではなく,特に,TypeIIIではAT障害の発生リスクが高まる可能性が示唆された。