[KS1017-2] 痛みの評価を目的とした感覚情報処理の基礎的研究
痛みは主観的な感覚であり,器質的,認知的,心理的要因など様々な要因によって修飾を受けることが知られている。そのため,痛みの評価には多面的評価が重要であると考えられる。我々は,脳波および脳磁場計測装置を用いて,「痛みの評価を目的とした感覚情報処理の基礎的研究」を主要なテーマに,以下の3つの研究を行ってきたので紹介する。
①痛覚情報処理を選択的に調べる:痛みを伝える神経であるAδおよびC線維の選択的評価は困難であるとされてきた。そこで,我々は表皮内電気刺激法とよばれる手法を開発し,AδおよびC線維の選択的評価法を考案してきた(Inui, et al., 2002, Otsuru, et al., 2009, 2010)。本手法は多くの基礎研究に応用されており,一部臨床現場においても利用されている。
②痛覚以外の感覚刺激を用いて調べる:脳の情報処理の本質は,常に入力される情報を予測すること(predictive coding)であるという仮説が注目を集めている。我々はこれまでに,予測した情報と異なる情報が入力された時の皮質応答(予測エラー反応)に関する研究を,聴覚および触覚刺激を用いて行ってきた(Otsuru, et al., 2011, 2012)。この予測エラー反応は,外界から発生した新奇刺激に対する感受性を反映している可能性があり,痛みに影響を及ぼす心理学的特性と関連があると予測して研究を進めている。
③多感覚の統合機能を調べる:自分の身体は自分のものであるという感覚(自己身体所有感)が,慢性疼痛患者において破綻しているという報告が数多くなされている。この自己身体所有感は視覚,触覚,固有受容覚を主とする多感覚統合により成立している。我々は,健常者において自己身体所有感に変容を与えた際の脳内情報処理を検討し,一次体性感覚野の活動が変化することを示した(Otsuru, et al., 2014)。先行研究もふまえて,この活動の意義に関して議論したい。
①痛覚情報処理を選択的に調べる:痛みを伝える神経であるAδおよびC線維の選択的評価は困難であるとされてきた。そこで,我々は表皮内電気刺激法とよばれる手法を開発し,AδおよびC線維の選択的評価法を考案してきた(Inui, et al., 2002, Otsuru, et al., 2009, 2010)。本手法は多くの基礎研究に応用されており,一部臨床現場においても利用されている。
②痛覚以外の感覚刺激を用いて調べる:脳の情報処理の本質は,常に入力される情報を予測すること(predictive coding)であるという仮説が注目を集めている。我々はこれまでに,予測した情報と異なる情報が入力された時の皮質応答(予測エラー反応)に関する研究を,聴覚および触覚刺激を用いて行ってきた(Otsuru, et al., 2011, 2012)。この予測エラー反応は,外界から発生した新奇刺激に対する感受性を反映している可能性があり,痛みに影響を及ぼす心理学的特性と関連があると予測して研究を進めている。
③多感覚の統合機能を調べる:自分の身体は自分のものであるという感覚(自己身体所有感)が,慢性疼痛患者において破綻しているという報告が数多くなされている。この自己身体所有感は視覚,触覚,固有受容覚を主とする多感覚統合により成立している。我々は,健常者において自己身体所有感に変容を与えた際の脳内情報処理を検討し,一次体性感覚野の活動が変化することを示した(Otsuru, et al., 2014)。先行研究もふまえて,この活動の意義に関して議論したい。