[KS1020-2] なぜ運動が慢性疼痛患者にとって必要なのか?
基礎研究と臨床研究から紐解く運動療法の痛み治療としての意義
本邦では6ヶ月以上継続して中等度以上の筋骨格系運動器疼痛を訴える患者が全人口の約15%に及ぶ。このような慢性疼痛疾患に対しては様々な治療法が行われているが,十分に疼痛コントロールが出来ない患者も未だ少なくない。しかし,難治性の慢性疼痛疾患に対して一貫して臨床的有効性が示されている治療として運動療法が挙げられる。本発表では,慢性疼痛患者にとって運動療法の必要性について基礎研究を元に紐解き,その意義付けを行う。
(1)痛みの破局的思考を契機とする痛みの悪循環モデル(fear-avoidance model)がしられており,その構成要素である痛みに対する恐怖心や不安感,抑うつ,機能的ADLの低下に加え,我々は睡眠障害を加えて診療をしている。このような痛みの悪循環モデルを裏付ける基礎研究と我々の臨床アプローチを大脳皮質感作として疼痛下行性抑制系の機能減弱メカニズムを概説する。
(2)痛みの慢性化,重症化のrisk factorである肥満について,肥満の疼痛増悪機序を考察し,運動療法によって体重減少を実現することによる疼痛治療としての意義を考察する。
(3)我々はComplex regional pain syndromeや幻肢痛の発症機序として提案されている知覚―運動協応の破綻を定量化する方法論を開発し,脳内表象での運動の意義を報告してきた。このような脳内における運動表象の活性化が痛みと実際の四肢運動学習に与える影響を考察する。
【謝辞】大住倫弘先生(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター),熊谷晋一郎先生(東京大学先端科学技術研究センター),大竹祐子先生(東京大学医学部附属病院リハビリテーション部/緩和ケア診療部)
(1)痛みの破局的思考を契機とする痛みの悪循環モデル(fear-avoidance model)がしられており,その構成要素である痛みに対する恐怖心や不安感,抑うつ,機能的ADLの低下に加え,我々は睡眠障害を加えて診療をしている。このような痛みの悪循環モデルを裏付ける基礎研究と我々の臨床アプローチを大脳皮質感作として疼痛下行性抑制系の機能減弱メカニズムを概説する。
(2)痛みの慢性化,重症化のrisk factorである肥満について,肥満の疼痛増悪機序を考察し,運動療法によって体重減少を実現することによる疼痛治療としての意義を考察する。
(3)我々はComplex regional pain syndromeや幻肢痛の発症機序として提案されている知覚―運動協応の破綻を定量化する方法論を開発し,脳内表象での運動の意義を報告してきた。このような脳内における運動表象の活性化が痛みと実際の四肢運動学習に与える影響を考察する。
【謝辞】大住倫弘先生(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター),熊谷晋一郎先生(東京大学先端科学技術研究センター),大竹祐子先生(東京大学医学部附属病院リハビリテーション部/緩和ケア診療部)