日本神経理学療法学会
脳卒中片麻痺患者の神経可塑性と歩行

[KS1052-2] 脳卒中急性期重度片麻痺者の歩行トレーニング

^○阿部浩明^1,2 (1.広南病院リハビリテーション科, 2.東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野)

ニューロイメージング技術などの発展に伴い，脳卒中者に対するリハビリテーションによって生じる脳内の可塑的変化は広く認知され，既に疑いようもないものとなった。集中的な運動を行うことによって可塑的変化が生じ，損傷部位周辺の神経細胞が形態的に再構築されることが明らかになっている。そのような機能的な再組織化を引き出すためには目的指向的な課題であること，課題特異的な課題であること，様々な環境下での運動課題であること，適切な課題難易度であることが重要であるとされている。また，歩行にかかわる神経機構が明らかとなりつつあり，それらを考慮した介入であることも重要であろう。
演者は臨床のフィールドに従事しており，その立場から，脳卒中片麻痺者の神経可塑性にかかわる先行研究を概観し，現在の診療ガイドライン（脳卒中治療ガイドライン，脳卒中理学療法診療ガイドライン）を踏まえて，臨床のフィールドで提供できる歩行再建に向けた理学療法のあり方，特に歩行の獲得が難しい重度片麻痺例の歩行トレーニングのあり方について提言したい。