第51回日本理学療法学術大会

Presentation information

日本心血管理学療法学会

日本心血管理学療法学会
慢性心不全における運動と栄養

Sat. May 28, 2016 5:00 PM - 5:30 PM 第2会場 (札幌コンベンションセンター 1階 特別会議場)

司会:渡辺敏(聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部)

[KS1068-1] 慢性心不全における運動と栄養

山田純生 (名古屋大学大学院医学系研究科(保健学))

慢性心不全は進行する病態であり,その医療も病態進行を抑制するための長期管理に主眼がおかれる。運動介入はその長期管理の一構成要素であるが,薬物療法と同様の予後改善効果が示され,慢性心不全への治療的介入として高いレベルで推奨されている(2013 AHA/ACC Guideline, Circulation published online June 5, 2013)。
しかしながら,実臨床で遭遇する慢性心不全患者の多くは75歳以上の後期高齢患者が多くを占めており,中高年を主体とする急性心筋梗塞患者のように積極的運動介入は困難である場合が多い。このような高齢心不全患者に対する運動介入は,より加齢や病態の影響を強く受ける分,文献的に報告されてきた運動効果をそのまま期待することは困難と推測されるが,具体的な検討は進んでおらずその方法論は手探りの状態が続いているのが実状であろう。
高齢心不全は心不全の病態が複雑であり,臨床像も病態と加齢の双方の影響を受ける。そのため,改善標的もそのいずれの原因が主であるかを見極めることが必要である。一例として,高齢者で頻繁にみられるサルコペニアの病態と心不全で同様に体重減少を伴うカヘキシアは表現型は類似であるが,その原因が異なるため,同様の治療では効果が期待できないのである。
以上の観点より,講演では演者の慢性心不全の病態からみた運動と栄養の基本的考え方を提示し,諸兄姉のご意見を仰いでみたいと思う。