第51回日本理学療法学術大会

講演情報

日本スポーツ理学療法学会

日本スポーツ理学療法学会
東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて

2016年5月27日(金) 16:30 〜 17:30 第2会場 (札幌コンベンションセンター 1階 特別会議場)

司会:川島敏生(日本鋼管病院理学診療科)

[KS1072-1] 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて

赤間高雄 (早稲田大学スポーツ科学学術院)

オリンピック・パラリンピック競技大会では,大会期間中に大会施設(競技会場,練習会場,選手村等)において,すべてのステークホルダーに適切なメディカルサービスを提供しなければならない。ステークホルダーは,各国選手団(選手,スタッフ),審判,競技役員,オリンピックファミリー,大会運営スタッフ,メディア,観客等である。オリンピック・パラリンピック競技大会では,ADカードの有無,さらにADカードの種類によってアクセス可能区域が明確に区分けされるので,例えば,同一会場であっても選手用医務室と観客用医務室は別々に設置する必要がある。
各国選手団に対しては,競技会場の医務室と選手村のポリクリニックの設置と運営,支援病院の確保が主要な準備となる。各国代表選手に対するメディカルサービスにはトップアスリートに対する経験が豊富なスタッフの関与が必要であり,試合現場でのメディカルスタッフはそのスポーツの競技規則と競技進行を理解している必要がある。選手村ポリクリニックでは,内科,整形外科,歯科などの診療科,臨床検査,画像検査,調剤薬局,および理学療法などが必要であり,医師,歯科医師,およびパラメディカル等のスタッフが従事することになる。メディカルスタッフの数はポリクリニックのみで大会期間中(オリンピックとパラリンピックで合計約2カ月間)延べ数千名が必要になると推定される。限られた期間に多人数の優秀なメディカルスタッフを確保するには,関係諸機関・団体の協力が不可欠である。メディカルスタッフはアンチ・ドーピングの知識やトップアスリートに対する対応方法とともに,英語などの語学力も必要である。
大会では外国からの観客を含めて非常に多くの人々が大会施設に集合することになるので,多人数集団(マスギャザリング)に対するメディカル体制も必要になり,行政と連携して,大会施設内の公衆衛生に関わる事項も重要である。