第51回日本理学療法学術大会

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日本スポーツ理学療法学会

日本スポーツ理学療法学会
スポーツ理学療法 世界基準への到達,そこからの展開

Fri. May 27, 2016 5:40 PM - 6:40 PM 第2会場 (札幌コンベンションセンター 1階 特別会議場)

司会:小林寛和(日本福祉大学健康科学部)

[KS1074-2] スポーツ理学療法 世界基準への到達,そこからの展開

片寄正樹 (札幌医科大学保健医療学部理学療法学科)

2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まり,様々な意味で我が国のスポーツをとりまく環境も大きく変化している。スポーツの価値を社会が認識し,スポーツを実践するアスリートへのサポートも多様になってきた。国際競技大会という最高峰の舞台を目指す個別固有の様々な身体コンディションをもつアスリート達が,高い競技性と達成感のあるパフォーマンスを確保するため,スポーツ医科学が重要な貢献をしていることが多くの事例で示されてきている。
諸外国では,専門性を担保するものとしてスポーツ理学療法士の認定制度を運用し,スポーツ現場で必要とされるスキルを確保する教育養成システムとあわせて,その活躍の場も整備されている。一部の国でみられるステップアップ型のスキル認定に呼応した国内競技から国際競技への派遣事例は,社会に対する専門性の保証と,その専門性を活用する仕組みが社会で認知されているわかりやすい事例といえる。各国それぞれの事情をもちながらも,状況に応じた貢献を組織的に進めている印象が強い。
このような各国の事情にそった動きとあわせて,スポーツ理学療法の国際組織であるIFSPTでもRegistered International Sport Physical Therapistの認定資格の運用が始まっている。国際大会というグローバル視点で進められる競技においては,グローバルスタンダードのサポートが不可欠であり,このIFSPT認定要件となる11のコンピテンシーは「スポーツの分野で活躍する理学療法士が標準的にもつ資質」を国際的に提示しているといえよう。
我が国のスポーツ理学療法士の現状理解を試みるべく,我が国のスポーツ理学療法士の認定制度とこの国際基準との比較からスポーツ理学療法のグローバルスタンダードを理解し,我が国における実践科学としてのスポーツ理学療法のこれからの展開を考えてみたい。