第51回日本理学療法学術大会

講演情報

日本地域理学療法学会

日本地域理学療法学会
地域包括ケアシステムでセラピストに求められる連携とは

2016年5月28日(土) 14:40 〜 15:40 第1会場 (札幌コンベンションセンター 1階 大ホールA)

司会:樋口由美(大阪府立大学地域保健学域)

[KS1081-1] 地域包括ケアシステムでセラピストに求められる連携とは

川越雅弘 (国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)

今後15年間,75歳以上高齢者(後期高齢者)の急増が予想されている。後期高齢者は,医療や介護サービス,見守りなどの生活支援,住まいの確保など,日常生活を安心・安全に送る上での様々な支援を必要とするため,これらサービスや支援が,日常生活圏域の中で包括的・継続的に提供される仕組み,いわゆる地域包括ケアシステムの構築が,現在,重要な政策課題となっている。
地域包括ケアシステムは,1)医療(特に,退院支援,在宅医療),2)介護,3)生活支援,4)介護予防,5)住まいで構成されるが,これら各領域別に様々な施策が現在展開されている。また,これらサービスや支援が,適切に提供されるための多職種協働・連携の強化,適切に配分されるためのケアマネジメントの機能強化,保険者である市町村の地域マネジメント力の強化に向けた施策も展開されている。
これら施策動向の中で,リハビリテーション(以下,リハ)やセラピストに関係する主な課題としては,1)退院支援プロセスへの関与の強化,2)リハマネジメントの機能強化と多職種協働・連携の強化,3)介護予防事業への関与の強化(地域リハビリテーション活動支援事業の推進),4)地域づくりへの貢献の4点が挙げられる。
このうち,今回の介護報酬改定で強く打ち出されたのが,「生活期におけるリハマネジメントの機能強化と多職種協働・連携の強化」である。今回の改定は,リハ職の個別援助計画のマネジメント力(課題解決能力)の向上と,課題を達成するためのケア職との協働の推進を図ることを目指したものと言えよう。
本講演では,地域包括ケアが求められる背景について,特に,人口動態の面から解説した上で,地域包括ケアの概念,地域包括ケア構築に向けた施策の動向を解説する。最後に,退院時連携,多職種連携に焦点を当てた上で,セラピストに期待される役割と課題について私見を述べたい。