第51回日本理学療法学術大会

講演情報

日本地域理学療法学会

日本地域理学療法学会
地域の中での様々な連携の取り組みと課題について考える

2016年5月28日(土) 15:50 〜 17:50 第1会場 (札幌コンベンションセンター 1階 大ホールA)

司会:鈴木英樹(北海道医療大学大学院リハビリテーション科学研究科)

[KS1083-3] 地域ケア会議は地域の規範的統合を醸成し,理学療法士の進化を促す

竹村仁 (臼杵市医師会立コスモス病院リハビリテーション部)

平成12年から始まった介護保険制度は,平成27年度に第6期の改正が行われた。大分県ではこの第6期の介護保険料を3市町村でマイナス改定し,全体では第5期に比べ平均248円(-140-800円)上昇し,5599円となった。これは依然として全国平均の5514円を上回っているが,一方で,その上昇率は4.6%であり全国で最も低く抑えられており,全国最高だった第5期の28.8%増からみると大躍進である。また,平成27年度大分県内の新総合事業への移行自治体の割合は61.1%と全国1位であり,同様に認知症初期集中支援チームの自治体設置率も55.6%で全国2位となり,他都道府県よりいち早く新しい制度への転換が図られている。
これらを可能にした大きな要因の1つが,平成24年4月から大分県の主導で開始された地域ケア会議である。大分県は埼玉県和光市をモデルとして地域ケア会議を実施し,お世話型の介護から自立支援型の介護への転換を図るとともに地域課題の解決に向けて大きな舵を切った。これに際し,(公社)大分県理学療法士協会を含めた職能団体(作業,栄養,歯科衛生)は全面協力し,助言者として専門職の地域ケア会議への派遣および各種マニュアル等を作成し,介護支援専門員や訪問介護員などへの研修会や,リハ職のいない通所事業所への介入が行われた。もちろん各職能団体会員の質を担保するための研修会も平成24年度より年数回(平成27年度は8回)それぞれで開催している。さらに平成27年度には,地域包括支援センターへのリハ専門職等の配置を支援するモデル事業も始まっている。これらの取り組みは,士会と県および地域行政との連携を強くし,地方分権の中それぞれの地域課題の解決のため,理学療法士のアイデンティティを新たな役割へと進化させている。
大分での取り組みの実際や,その後の進化についてさらに述べていきたい。