第51回日本理学療法学術大会

Presentation information

日本予防理学療法学会

日本予防理学療法学会
予防理学療法で再発に歯止めがかけられるか?

Fri. May 27, 2016 1:05 PM - 3:05 PM 第2会場 (札幌コンベンションセンター 1階 特別会議場)

司会:藤田博暁(埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科), 吉田剛(高崎健康福祉大学保健医療学部理学療法学科)

[KS1100-1] 脆弱性骨折の予防と対策

永井聡 (広瀬整形外科リウマチ科リハビリテーション科)

運動器の分野から,理学療法士が予防理学療法に関わるとすると,大腿骨頚部骨折・脊椎圧迫骨折など脆弱性骨折の予防のために転倒リスクの軽減,骨粗鬆症の予防,治療に関わることが重要となる。
外来での運動器リハビリテーションでのいわゆるドミノ骨折の予防には,骨折リスクの高い患者に対し転倒予防の運動療法の指導や,起居動作など関節への負担を軽減したADL指導が重要となり,骨粗鬆症患者には,早期より治療が実践できるように医師や看護師と連携したマネージメントが重要である。近年骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)が構築され地域医療でのネットワークが実践され始めている。理学療法士は,栄養・薬の知識,骨粗鬆症の現在の治療ガイドラインを理解しておく必要があり,日々の臨床で患者に多くのアドバイスをできるはずである。また骨粗鬆症の治療では,服薬コンプライアンスが悪く,年齢層が高いこともあり,約半分の患者が治療を中断してしまっているという報告もある。従来からの転倒予防の運動療法のみを行うのではなく,骨粗鬆症の予防,脆弱性骨折予防のためにも,危険因子のチェックや患者の食事の様子や生活習慣,運動習慣,体質を理解し継続的なアプローチが運動器の理学療法士に求められている。
また脆弱性骨折の既往がある患者ばかりでなく,外来での理学療法では腰痛・膝・股関節痛などの関節痛により歩行が不安定になり転倒リスクがある症例も来院する。そのような患者の関節痛を解消することが,まさに転倒予防につながるのは当然のことだが,関節疾患の治療も行いながら転倒リスクの評価を行い,疼痛は軽減しても治療が長期化しそうな患者には,介護保険での通所リハビリテーションや自宅,地域での運動を継続してできる環境を提供するなど健康寿命を延ばしていく方法を探らなければならない。