第51回日本理学療法学術大会

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日本理学療法教育学会

日本理学療法教育学会
理学療法教育研究を進めるに際して

Sat. May 28, 2016 10:40 AM - 11:40 AM 第3会場 (札幌コンベンションセンター 1階 中ホール)

司会:本田知久(総合南東北病院リハビリテーション科)

[KS1113-1] 理学療法教育研究を進めるに際して

日高正巳 (兵庫医療大学リハビリテーション学部)

理学療法教育が抱えている課題は非常に多岐にわたっており,日本理学療法教育学会は,理学療法教育研究の学術的討議の中心的役割が求められている。理学療法教育の学術的深化を考えた場合には,会員諸氏による「理学療法教育研究の進展」ならびに「学術的討議」に期待するところが大きい。現在,臨床研究の推進に際しては,「ヘルシンキ宣言(フォルタレザ版)」「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を順守することが求められており,理学療法教育研究においても,同様に順守しなければならない。特に,理学療法教育研究の場合,卒前教育に関する研究では研究者が教員,研究対象が学生となり,臨床教育においては職場内の上司が研究者,職場内スタッフを対象として展開されることが少なくない。このような研究環境にあっては,研究者と研究対象者との間に力関係が生じる可能性が否定できず,より慎重な対応を求められる。さらに,学習者の学習場面や学習内容が研究材料となることもあり,その場合学習者にとっての「学習機会の保障」についても留意することが求められる。
さらに,利益相反(COI)に対する対応も臨床研究では重要となってきている。COIは,臨床研究において研究者と企業との関係についてのものであり,教育の場面では関係ないと考える人もいるだろう。しかし,教育においても種々の教材を活用することがあり,教材の無償提供等では注意が必要である。さらに,そのような教材を含んだ研究の場合には,COIは無関係とはいえない。
以上を踏まえて,今回の教育セミナーでは,理学療法教育の研究を進めるうえで,研究倫理ならびに利益相反の観点から留意しなければならない事項について紹介するとともに,理学療法教育研究を発展させていくための研究データの取扱等について紹介する。