[O-DM-01-3] 肥満型2型糖尿病患者へのレペティション形式の運動がエネルギー代謝へ及ぼす影響
キーワード:レペティションエクササイズ, EPOC, エネルギー消費量
【はじめに,目的】
アメリカスポーツ医学会(ACSM)では,健康増進を目的にBrisk walkingなどを推奨している。一方,レペティションエクササイズ(RE)は低体力者の運動介入に効果的な方法の一つであるが,エネルギー消費に及ぼす影響については明らかにされていない。そこで本研究では,REがエネルギー代謝へ及ぼす影響を検討した。
【方法】
対象者は,運動習慣がなく変形性膝関節症(OA)を有する肥満型糖尿病(DM)患者8名(男性:4名,女性:4名,年齢:50.9±10.5,BMI:37.3±8.2kg/m2)であった。糖尿病治療ガイドラインが推奨している運動時間である15分の歩行を自由歩行速度で実施(natural walking;NW),運動中に1回完全休息(one repetition aerobic exercise;OR),2回完全休息(two repetition aerobic exercise;TR)の3条件を無作為に割付,対象者は1日以上のウォッシュアウト後,同一時刻にすべての条件を実施した。OR,TR条件の運動もそれぞれ15分間として休息時間設定はACSMの基準を採用した。また,各条件は1周40mのコースを自由歩行速度で実施,毎周のラップタイムを計測した。エネルギー消費量は呼気ガス分析装置(fitmate pro;COSMED社製),歩数はライフコーダEX(スズケン社製),心拍数はFT80(POLAR社製)を使用,3条件の運動開始から終了後の安静時測定までの合計時間は同一に設定した。すべてのデータは平均値±標準偏差で示し,SPSSver22.0を用いて解析をした。各条件の比較には一元配置分散分析後にBonfferroni検定を用いた。なお,危険率は5%未満を有意水準として採用した。
【結果】
各条件のラップタイムの平均は,NW,OR,TR条件で37.3±5.4,37.1±5.6,37.0±5.3秒,歩数は1659.7±143.3,1698.6±106.5,1678.9±91.7歩であり,運動終了時の心拍数は,それぞれ109.1±9.5,110.1±9.2,106.7±9.2beats/minであり,運動時から終了後の安静時を含めた総エネルギー消費量は,それぞれ90.1±15.5,92.3±18.3,90.3±13.2kcalであり,それぞれ3条件間で有意な差は認められなかった。しかし,Excess post-exercise oxygen consumption(EPOC)は,それぞれ17.4±3.2,21.1±2.5,27.7±3.2kcalであり,NWおよびORとTR条件との間に有意な差が認められた(p<0.01)。
【結論】
REでは,NW条件と同様にエネルギー消費することが示された。その原因の一つとしては,休息回数の増加とともに運動中のエネルギー消費が減少する一方,運動習慣のない肥満者では5分程度の運動でも一定の身体負荷がかかるために休息期間および運動終了後のEPOCが増加して,NW条件と同等のエネルギーを消費したと考えられる。本研究は,OAを有する患者の関節痛を誘発せずに持続的運動と同様に効果的にエネルギーを消費した。今後はトレーニングでの検討を進めることにより,運動療法の導入時および関節痛予防などの運動処方の一つとして臨床的意義のある研究になると考えられる。
アメリカスポーツ医学会(ACSM)では,健康増進を目的にBrisk walkingなどを推奨している。一方,レペティションエクササイズ(RE)は低体力者の運動介入に効果的な方法の一つであるが,エネルギー消費に及ぼす影響については明らかにされていない。そこで本研究では,REがエネルギー代謝へ及ぼす影響を検討した。
【方法】
対象者は,運動習慣がなく変形性膝関節症(OA)を有する肥満型糖尿病(DM)患者8名(男性:4名,女性:4名,年齢:50.9±10.5,BMI:37.3±8.2kg/m2)であった。糖尿病治療ガイドラインが推奨している運動時間である15分の歩行を自由歩行速度で実施(natural walking;NW),運動中に1回完全休息(one repetition aerobic exercise;OR),2回完全休息(two repetition aerobic exercise;TR)の3条件を無作為に割付,対象者は1日以上のウォッシュアウト後,同一時刻にすべての条件を実施した。OR,TR条件の運動もそれぞれ15分間として休息時間設定はACSMの基準を採用した。また,各条件は1周40mのコースを自由歩行速度で実施,毎周のラップタイムを計測した。エネルギー消費量は呼気ガス分析装置(fitmate pro;COSMED社製),歩数はライフコーダEX(スズケン社製),心拍数はFT80(POLAR社製)を使用,3条件の運動開始から終了後の安静時測定までの合計時間は同一に設定した。すべてのデータは平均値±標準偏差で示し,SPSSver22.0を用いて解析をした。各条件の比較には一元配置分散分析後にBonfferroni検定を用いた。なお,危険率は5%未満を有意水準として採用した。
【結果】
各条件のラップタイムの平均は,NW,OR,TR条件で37.3±5.4,37.1±5.6,37.0±5.3秒,歩数は1659.7±143.3,1698.6±106.5,1678.9±91.7歩であり,運動終了時の心拍数は,それぞれ109.1±9.5,110.1±9.2,106.7±9.2beats/minであり,運動時から終了後の安静時を含めた総エネルギー消費量は,それぞれ90.1±15.5,92.3±18.3,90.3±13.2kcalであり,それぞれ3条件間で有意な差は認められなかった。しかし,Excess post-exercise oxygen consumption(EPOC)は,それぞれ17.4±3.2,21.1±2.5,27.7±3.2kcalであり,NWおよびORとTR条件との間に有意な差が認められた(p<0.01)。
【結論】
REでは,NW条件と同様にエネルギー消費することが示された。その原因の一つとしては,休息回数の増加とともに運動中のエネルギー消費が減少する一方,運動習慣のない肥満者では5分程度の運動でも一定の身体負荷がかかるために休息期間および運動終了後のEPOCが増加して,NW条件と同等のエネルギーを消費したと考えられる。本研究は,OAを有する患者の関節痛を誘発せずに持続的運動と同様に効果的にエネルギーを消費した。今後はトレーニングでの検討を進めることにより,運動療法の導入時および関節痛予防などの運動処方の一つとして臨床的意義のある研究になると考えられる。