[O-DM-01-5] 冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者における血清IL-6の急性応答と血糖変動・骨格筋指数との関連性
キーワード:IL-6, 耐糖能異常, 血糖値
【はじめに,目的】
近年,運動によって骨格筋から分泌されるIL-6の増加はAMPKの活性化に関与し,骨格筋でのグルコースの取り込み促進や脂質利用を向上させることが報告されている。また,骨格筋由来のIL-6は腸管に作用し,GLP-1分泌を促進させる効果も報告されている。これらの報告は健常人やラットでの報告が多く,冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者に対して検討した報告は少ない。また,IL-6と筋肉量との関連性について検討した報告は少ない。よって,本研究の目的は冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者における血清IL-6の急性応答と血糖変動,骨格筋指数(SMI:Skeletal Muscle Index)との関連性について明らかにすることとした。
【方法】
対象は冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者14例(男性13例,女性1例,2型糖尿病11例,境界型糖尿病3例,心筋梗塞6例,狭心症8例)である。年齢は69.6±9.2歳,BMIは24.9±5.3kg/m2,HbA1cは7.1±1.7%,LVEFは59.6±9.4%であった。
測定項目は,血糖値,血清IL-6,SMIとし,血糖値と血清IL-6は有酸素運動前,運動終了直後に測定した。
血糖値と血清IL-6の測定は退院前日に行い,全例が院内昼食を摂取後1時間後に実施した。運動種目は有酸素運動としてトレッドミルあるいは自転車エルゴメータを選択し,Borg Scale11~13の運動強度で20分間実施した。血糖値は三和化学研究所社製グルテストNeoアルファで測定し,血液検体は肘正中皮静脈から採取した。採取した血液検体の分析は株式会社SRLによって実施され,IL-6濃度はCLEIA法で分析された。
SMIは測定前日に,筋肉量の測定としてゴールドスタンダードとされる二重エネルギーX線骨塩分法と高い相関を持つ,多周波生体インピーダンス法(In Body430,Biospace製)にて測定し,測定時間は食事による影響を考慮するため食後2時間以上の間隔を空けて行った。得られた体組成の結果から,四肢の筋量を身長の2乗で除した値であるSMIを算出した。
統計学的解析は血糖値と血清IL-6の運動前後の比較を対応のあるt検定を用いて検討した。また,運動前後の血清IL-6の変化量(⊿IL-6)と血糖値の変化量(⊿BS),SMIとの関連性をピアソンの積率相関係数を用いて検討し,有意水準は5%未満とした。
【結果】
有酸素運動前後で血糖値は有意に低下を認めた(151.6±38.9 vs 132.1±45.8,p=0.005)が,血清IL-6量は有意な変化を認めなかった(5.9±3.6 vs 6.1±3.8,p=0.210)。一方,⊿IL-6と⊿BSとの間に有意な負の相関関係を認め(r=-0.570,p=0.033),⊿IL-6とSMIとの間に有意な正の相関関係を認めた(r=0.643,p=0.013)。
【結論】
本研究の結果より,冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者において一回の有酸素運動でも,IL-6の分泌増加が骨格筋でのグルコースの取り込み促進に関連している可能性が示唆された。また,運動によって骨格筋から分泌されるIL-6量には筋肉量が関連している可能性が示唆された。
近年,運動によって骨格筋から分泌されるIL-6の増加はAMPKの活性化に関与し,骨格筋でのグルコースの取り込み促進や脂質利用を向上させることが報告されている。また,骨格筋由来のIL-6は腸管に作用し,GLP-1分泌を促進させる効果も報告されている。これらの報告は健常人やラットでの報告が多く,冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者に対して検討した報告は少ない。また,IL-6と筋肉量との関連性について検討した報告は少ない。よって,本研究の目的は冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者における血清IL-6の急性応答と血糖変動,骨格筋指数(SMI:Skeletal Muscle Index)との関連性について明らかにすることとした。
【方法】
対象は冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者14例(男性13例,女性1例,2型糖尿病11例,境界型糖尿病3例,心筋梗塞6例,狭心症8例)である。年齢は69.6±9.2歳,BMIは24.9±5.3kg/m2,HbA1cは7.1±1.7%,LVEFは59.6±9.4%であった。
測定項目は,血糖値,血清IL-6,SMIとし,血糖値と血清IL-6は有酸素運動前,運動終了直後に測定した。
血糖値と血清IL-6の測定は退院前日に行い,全例が院内昼食を摂取後1時間後に実施した。運動種目は有酸素運動としてトレッドミルあるいは自転車エルゴメータを選択し,Borg Scale11~13の運動強度で20分間実施した。血糖値は三和化学研究所社製グルテストNeoアルファで測定し,血液検体は肘正中皮静脈から採取した。採取した血液検体の分析は株式会社SRLによって実施され,IL-6濃度はCLEIA法で分析された。
SMIは測定前日に,筋肉量の測定としてゴールドスタンダードとされる二重エネルギーX線骨塩分法と高い相関を持つ,多周波生体インピーダンス法(In Body430,Biospace製)にて測定し,測定時間は食事による影響を考慮するため食後2時間以上の間隔を空けて行った。得られた体組成の結果から,四肢の筋量を身長の2乗で除した値であるSMIを算出した。
統計学的解析は血糖値と血清IL-6の運動前後の比較を対応のあるt検定を用いて検討した。また,運動前後の血清IL-6の変化量(⊿IL-6)と血糖値の変化量(⊿BS),SMIとの関連性をピアソンの積率相関係数を用いて検討し,有意水準は5%未満とした。
【結果】
有酸素運動前後で血糖値は有意に低下を認めた(151.6±38.9 vs 132.1±45.8,p=0.005)が,血清IL-6量は有意な変化を認めなかった(5.9±3.6 vs 6.1±3.8,p=0.210)。一方,⊿IL-6と⊿BSとの間に有意な負の相関関係を認め(r=-0.570,p=0.033),⊿IL-6とSMIとの間に有意な正の相関関係を認めた(r=0.643,p=0.013)。
【結論】
本研究の結果より,冠動脈疾患急性治療後の耐糖能異常患者において一回の有酸素運動でも,IL-6の分泌増加が骨格筋でのグルコースの取り込み促進に関連している可能性が示唆された。また,運動によって骨格筋から分泌されるIL-6量には筋肉量が関連している可能性が示唆された。